征服群
解説
かつて「北緯三十六度」として無声映画時代にも製作されたことのあるエマーソン・ホウの原作を「危険なる楽園」「西部の星影(1930)」のグローヴァー・ジョーンズとウィリアム・スレイヴンス・マクナットが脚色し「駄法螺成金」「嵐に咲く花」のエドワード・スローマンが監督したもので、主演者は、「喰人島征服」「国境の狼群(1930)」のリチャード・アーレンとフェイ・レイ、助演者はクロード・ギリングウォーター、アイヴァン・マクラレン、ジェームズ・ダーキンなどでキャメラは「喰人島征服」「屠殺者(1930)」のアーチー・スタウトが担任。
1931年製作/アメリカ
原題または英題:The Conquering Horde
ストーリー
南北戦争が終わりをつげて2年、1867年の春も酣の頃。北軍の大佐だったダン・マクマスタ- は久しぶりに故郷テキサスへ帰ってきた。しかいまだに殺気だった人々は北部の民をヤンクスと呼んで敵視しており、ダンが何よりも楽しみにしていた幼なじみのテイジーすらヤンクスに味方した彼を快く迎えようとはしなかった。その頃テキサスの州は鉄路の便がなく北方への販路が全く封ぜられていたために家畜牧場は法外な安値になり人々は飢餓と貧窮に全く困り果てていた。南北戦争に父を奪われていらい、テイジー・ロックハートはこうした殺伐なテキサスにあってけなげにも女手ひとつに牧場をきり回して来た。けれど今は牧童に払う金さえ尽きて虚しく家畜牧場を手離さねばならなくなった。こうした窮地につけ込んで牧場を二束三文の安値で手に入れるのを仕事にしている州の悪役人フレッチャーがテイジーの牧場に目をつけ始めた。フレッチャーの悪企みをよく知っていたダンはテイジーに家畜を北方の町アビリーンの市場に送る事を勧めるのだった。まもなく5千頭の牛の大群を連れたテイジーの一行がはるか北方一千里のアビリーン指して危険なる旅を始めたのである。険峻なる山脈、奔流渦巻く大河そして時おり襲いくる大暴風雨に一行が主力をそそいでいる頃、その背後にはフレッチャーの一味が強奪の機会を狙っていた。ダンはテイジー一行の道案内をつとめていたが、血を流す惨事を好まずかねがねフレッチャーに会ってその襲撃の機会を後らせようとしていた。しかし彼のこうした態度は遂に一行の疑惑を買い、途中で追放されてしまった。テイジーのいっこうはレッド・リヴァーを渡っていよいよ北部に入ろうとするころ、業を煮やしたフレッチャーはインディアンの女を殺し彼らをこの一行に襲いかからせようとした。早くもこれを知ったダンはインディアンと軍隊の力を借りてようやくフレッチャーを捕らえる事が出来た。やがて多難な行路を終えて一行が無事アビリーンに着いた時、テイジーは初めてダン・マクマスタース大佐こそ大統領A・ジョンスンの秘命を帯びてテキサスを繁栄に導くために現れた英雄であることを知ったのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エドワード・スローマン
- 脚色
- グローバー・ジョーンズ
- ウィリアム・スレイバンス・マクナット
- 原作
- エマーソン・ホウ
- 撮影
- アーチー・スタウト