シンギング・フール

解説

米国で最も人気のある歌い手アル・ジョルソン氏の第2回主演映画で、レスリー・バロウズ氏作の舞台劇を「空中サーカス」「指紋名探偵」のシー・グレアム・ベイカー氏が脚色「珍雄凱旋」「指紋名探偵」のロイド・ベイコン氏が監督したものである。ジョルソン氏を助けて「哀調の小道」「錯覚恋愛」のジョセフィン・ダン嬢、「ベン・ハー(1926)」「猫の寝巻」のベティー・ブロンソン嬢。「乱暴ロージー」のリード・ハウズ氏、「ブロード・ウェイ」のアーサー・ハウスマン氏、エドワード・マーティンデル氏、ヘレン・リンチ嬢及び少年名優のデーヴィー・リー君が出演している。撮影は「ニューヨーク狂想曲」「マノン・レスコオ」のバイロン・ハスキン氏が担当したパート・トーキーである。

1928年製作/アメリカ
原題または英題:The Singing Fool

ストーリー

現在の職業は、と言えばカフェの給仕、将来の希望はというと偉大なる作曲家、そして持って生まれた性分は歌気狂い、即ちシンギング・グループである。アル・ストーンはこんな男であった。彼は一日中クラブ・クリコオという勤め先のカフェで忙しく立ち働いていた。そして注文をきいたり料理を運んだりするばかりでなく自分で作詞作曲した唄を歌っては客の喝采を博していた。アルには素晴らしいインスピレーションを興へる美しい憧憬の恋日とがある。それは彼と同じくクラブ・クリコオの雇い人で歌い手で踊り子のモリー・ウィントンだった。モリーは彼女自身大きな望みを抱いていたのでアルの真剣な恋も軽くあしらっていたが、アルが作った歌がお当たりをとったので彼女はアルの乞いを容れて結婚した。二人の間には可愛い坊やが生まれた。アルは成功と幸福とに酔った。ところが家庭の幸福よりも華やかな舞台に強い野心を持っているモリーは、その道の人に勧められるままに家庭を捨て夫を捨て愛児を捨てて脚光の前に立った。モリーを深く愛したインスピレーションを得ていたアルは失望のどん底に陥った。彼の創造力は低迷し、たちまち彼は落伍者となった。やむなくアルは再びカフェの給仕となって愛児の成長を楽しみに働いた。そして可愛い煙草売りの娘グレースはアルの胸中を深く思い使って優しくするので、モリーヲうしなって傷ついた彼の胸には再び愛が芽ざして来た。ところが不摂生したことが因でアルが生命よりも愛しているソニーが死の床に伏したために、アルは一生懸命に看病し「ソニー・ボーイ」の唄を歌うのだった。但し彼のいとし児は神に国に召された。アルの悲しみは絶頂に達した。とはいえその悲しみもグレースの優しい心が遠からずやわらげるであろう。

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