「争いを起こす男たちに、手を取り合って立ち向かう女たち」私刑される女 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
争いを起こす男たちに、手を取り合って立ち向かう女たち
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シネマヴェーラ渋谷の「超西部劇」特集で上映されたことで、話題にのぼっていたので興味を惹かれて観てみた。
1950年代にどうやってこの映画が生まれたのだろうと背景が知りたくなる、一風変わったシスターフッド西部劇。南北戦争の最中に、中立を保とうとしている町があって、女性町長が取り仕切っているのだが、両軍からあぶれたならず者の吹き溜まりのようになって治安が守られているとはいえない。
そこに兄を頼って遠方から妹が訪ねてくる。しかし兄はつまらぬ諍いから命を落とし、妹は兄が経営していた売春宿の経営を引き継ぎ、女性たちの力で自立を目指す。兄の元恋人で、今はならず者の妻となった元クラブ歌手は、妹を恨んで命を狙うが、やがて彼女らの間にも連帯の意識が芽生えていく。
女同士のキャットファイトや、兄を殺した渋いイケメンとすぐに運命の恋に落ちる主人公など、ジャンル映画ならではの安っぽい定番描写はあるものの、確かに個々には「争いを起こす男たちのロジックに、手を取り合って立ち向かう女たち」という構図が成立していて、イビツなんだけどスッとした心地よさがある。当時のジャンル映画における女性映画の扱いについてももっと知りたくなった。
そして「Woman They Almost Lynched」(危うくリンチされそうになった女)というネタバレ全開だが安心仕様の原題を、ネタバレスレスレで日本語にした邦題のセンス、いいと思う。
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