市俄古(1928)
解説
モーリン・ワトキンス氏作の舞台で当たりをとった戯曲の映画化で、「ボルガの舟唄」のレノア・コフィー女史の脚本により、「よう!グリフィス」「女人禁制」と同じくフランク・アーソン氏が監督したものである。主役は「肉体の道」「素晴らしい果報者」主演のフィリス・ヘイヴァー嬢で、それを助けて「ボルガの舟唄」ヴィクター・ヴァルコニ氏、「十誡(1923)」のロバート・エディソン氏、「村の医者」のヴァージニア・プラッドフォード嬢、「感傷の秋」のT・ロイ・バートン氏、等が重要な役を演ずるほか、ユージーン・パレット氏、クラレンス・バートン氏、ジュリア・フェイ嬢、メイ・ジョプスン嬢、等も主演する。
1928年製作/アメリカ
原題または英題:Chicago
ストーリー
ロキシー・ハートは夫のアモスと、シカゴに住んでいた。トキシーはアモスが勤めに出掛けて行った留守中、情人のキャスリーと痴情喧嘩の末、これを射殺してしまった。トキシーの知らせによって急ぎ帰って来たアモスは、自ら妻の身代わりに立とうとしたが、尋問の結果、それは露れてトキシーは監獄の人となった。が、何か事あれかしと待構えていた新聞紙は、このありふれた一殺人事件を、大袈裟に書き立て、世にも麗しき女性の殺人犯、と噺し立てたので、ロキシーは一躍して、シカゴ全市の人気者となってしまった。アモスはこの愛する妻の事件を裁判にかけては必勝の弁護士フリンに依頼した。フリンは報酬として5000ドルを要求した。悪弁護士のフリンはアモスの哀訴を聞き入れず是が非でも5000ドルを手に入れなければ弁護に立たないと言い張った。その夜、フリンの家では彼が人々の膏血を絞って貯めた5000ドルが盗まれた。翌朝、アモスはフリンに5000ドルを手渡した。そしていよいよフリンの雄弁を揮う公判の日が来た。彼の詭弁とトキシーのそれに応じた大芝居とは、陪審官のみならず公判廷全部の人々を動かした。そしてロキシーは釈放された。彼女は全市第一の人気の頂点に合った。が、その瞬間、一人の女が銃殺騒ぎを捲き起こした。ロキシーの人気は忽ち蹴落とされて、この女に持って行かれてしまった。その上、ロキシーは己の不行跡から夫のアモスにも棄てられて、誰一人顧みるものもない身と成り下った。妻の不貞や裁判沙汰、それに破れたアモスの心の傷を、静かに慰めるのはかねて密かにアモスを慕っていた女中のケティーであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- フランク・アーソン
- 脚色
- レノア・コフィー
- 原作戯曲
- モーリン・ワトキンス
- 撮影
- J・ペバレル・マーレイ