処女読本(1938)
解説
「ステージ・ドア」「踊らん哉」のジンジャー・ロジャースと「舞台裏の戦慄」「紳士渡世」のダグラス・フェアバンクス・ジュニアが主演する映画で、アーサー・コーバー作の舞台喜劇を「頓間パルーカ」「1937年の大放送」と同じくコーバーが脚色し、「目撃者(1936)」「ニューヨークの顔役」アルフレッド・サンテルが監督に当り、「ステージ・ドア」「偽装の女」のロバート・デ・グラスが撮影した。助演者は「片道切符」「腕白時代」のペギー・コクリン、「世界の歌姫」「ステージ・ドア」のルシル・ボール、「ニューヨークの顔役」「パリで逢った彼」のリー・ボウマン「新妻はタイピストから」のドロシア・ケント、「靴を脱いだ女」のアン・ミラー等の面々である。
1938年製作/アメリカ
原題または英題:Having Wonderful Time
ストーリー
ニューヨークの大会社に勤めているタイピストのテディーは、若く美しい娘なので色々求婚者があり、両親も結婚を勧めたが、彼女は教育のある優れた青年なので相手にする気にはなれなかった。楽しみに待っていた2週間の夏休みが来たので、テディーは狭くて家族の多い家を離れて、せめて休暇のうちに閑静な大自然に接しようと、友人フェイの行っているキャンプへ出かけた。ところがそこは休暇を享楽しようという若い男女の群で、都会と同じように雑踏している。テディーは大きな幻滅を感じた。キャンプの食堂には大勢の青年が給仕人として働いていた。その中に大学を卒業して弁護士の免状を持っているが、就職口がないためにここで働いているチックという青年がいた。テディーはキャンプへ来た日に彼と口論したが、間もなく彼の学識や真面目な性格を好ましいと思うようになり、チックも彼女の純真な向上心に感銘を覚える。2人は乗馬や水泳やボートに、2週間を楽しく暮らした。そして休暇も最後になり、明日はニューヨークへ出発するという晩、キャンプでは園遊会を催した。チックとテディーは月光を浴びて散歩していたが、いよいよ別れの時となったのでチックは彼女に結婚を申し込みたいと思うのだった。しかし彼は結婚しても妻を養う資力はないし、また何時になったら就職口が見つかるかも判らない。彼がそれをテディーに告げると、彼女は結婚ができるまでどんなに長くても待つという。だがそれでは何年かかるか判らないし、2人とも年をとってしまうから、当分同棲生活をするほかはないと云い出した。テディーはそれを聞くと急に腹を立て、彼の弁解に耳もかさずに掛け出して行くのだった。そしてバジイという青年に誘われるまま、分別もなく彼のキャンプへ遊びに行った。バジイは彼女に野心を持たぬではなかったが、2人で遊んでいるうちに眠くなったので寝てしまう。テディーも別室で卓にもたれたままいつしか眠ったのであった。目が覚めると朝だった。慌てて帰る途中をミリアムに見つけられ、悪い噂が広がった。テディーは弁解する気にもならなかった。淋しく立ち去ろうとした時、彼女を信ずるチックが現れて昨夜の失言を詫びた。テディーとて彼に対する愛に変りはない。2人は貧しいながらも前途の光明を信じ、チックの就職口が見つかるのを楽しみに婚約を結んだ。
スタッフ・キャスト
- 監督
- アルフレッド・サンテル
- 脚色
- アーサー・コーバー
- 製作
- パンドロ・S・バーマン
- 撮影
- ロバート・デ・グラス
- 音楽
- サム・H・ステプト