料理長殿、ご用心のレビュー・感想・評価
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料理長殿、ご用心
初めて観たのは淀川さん解説のTV「日曜洋画劇場」でですが、当時は特に期待もせずなんとなく観始めたらこれがかなりの掘出しもの的な面白さで、一気に引き込まれて観た記憶が有ります。その後は輸入版DVDを購入したりもしていたのですが、つい先日、国内版のブルーレイが発売され、なんとTV放映時の素晴らしい吹き替え(滝口順平氏によるロバート・モーレイの吹き替えが秀逸!)が収録されていたので、思わず購入してしまいました。
監督があの「ランボー ('82)」や「地獄の7人 ('83)」のテッド・コッチェフで、日本ではアクション映画で知られている人なので、本作のようなロマンチック・コメディ&サスペンスというのがかなり異色な印象を受けますが、実はウエスタンだろうがコメディだろうがジャンルを問わず柔軟に対応出来る監督であったことが、このディスクに収録されているコッチェフ自身が2011年に自作を語った貴重なメイキング・ドキュメンタリーを観ることで分かりました。
ブルガリア生まれの両親が戦前にカナダのトロントに移住し、アマチュアの劇団俳優をしながら、レストランで働き、ウェイター、シェフ、後にレストラン・オーナーとなり、その老舗のレストランは今でも健在な様です。そのような環境で育ち、後にはレストランの副料理長にもなったコッチェフにとって、この作品は知り尽くしているもっとも身近で得意な題材だったようです。
また幼少期の1930年代には両親に連れられて、毎週2本立ての映画を計6本は観ており、特に大好きなジャンルが、スクリューボール・コメディで、ハワード・ホークス監督で、ケーリー・グラント、キャサリーン・ヘップバーン主演の「赤ちゃん教育 ('38)」や同じくケーリー・グラント主演でロザリンド・ラッセル共演の「ヒズ・ガール・フライデー ('40)」等に夢中だった様です。実際、コッチェフ自身も「ヒズ・ガール・フライデー」の基となったベン・ヘクトとチャールズ・マッカーサーによる戯曲「フロント・ページ」を題材にした映画の4回目のリメイク作品である「スイッチング・チャンネル ('88)」をバート・レイノルズ、キャスリーン・ターナー、クリストファー・リーヴ主演で手掛けていることからも、如何にこのジャンルが好きなのかがよく分かります。本作における主演のジョージ・シーガルとジャクリーン・ビセットによる掛け合いは、まさにスクリューボールのノリであり、同じくスクリューボール・コメディ好きのジャクリーンとも意気投合していたことが語られています。
脚本があのオードリー・ヘップバーンとケーリー・グラント主演の「シャレード ('63)」の原作者のピーター・ストーンで、ロマンス、コメディ、サスペンスの絶妙な混合ぶりとして、出来るだけ「シャレード」に近付けることを狙っていたことが分かります。
ロンドン、ベニス、パリ等の一流レストランでの撮影、様々な名店の一流料理を美味しいそうに見える様にフィルムに収めたのは、巨匠スタンリー・キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ ('71)」、「バリー・リンドン ('75)」、「シャイニング ('80)」等で有名な撮影監督のジョン・オルコットですが、料理撮影の際も自然光のみで撮影したり、またジャクリーンを美しく撮影する為に、白い傘5〜6本と小さなライト数個のみで、被写界深度を浅くしながら、動き回るジャクリーン嬢に巧みにピントを合わせ続けるという神技的なテクニックを施していたことも分かりました。
一癖も二癖ある各国の一流料理長を演じる名優たち、フィリップ・ノワレ、ジャン=ピエール・カッセル、ジャン・ロシュフォール、ジャック・バルタン、ダニエル・エミルフォック等に加え、ジジ・プロイエッティ、そして「シャレード ('63)」にも出ていたジャック・マラン等の贅沢な競演も見ものです。
そして忘れてはいけないのが、ヘンリー・マンシーニによる素晴らしいスコアの数々。コッチェフ自身、ブレイク・エドワーズ監督作品「ティファニーで朝食を ('61)」「ピンクの豹 ('63)」「パーティ ('68)」を敬愛していること、前記「シャレード」が大好きなことから、この映画のサウンドトラックをマンシーニに依頼したことは必然と言えますが、相変わらず素晴らしいメロディーの数々の中では、特にジャクリーン・ビセット演じる女性料理長ナタシャーのテーマ曲で、ロマンチックで哀愁を帯びていて、一度聴いたら忘れられないマンシーニならでは名曲です。
0176 主治医よ、ワタシの命があんた次第でなくてよかったよ。
1979年公開
なかなか見る機会がなくてようやく観れましたよ。
ジャクリーンビゼット最盛期(いつまでやねん!)が
未来永劫フイルムに残ることは大賛辞。
当時は専門誌でしか味わえなかったが
ここまであまり美食とは縁遠い苦学生だったので
背景には迫るものはなかったものの
ミステリーとしてもそつなくまとまっていて面白い。
間に挟む英国風の洒落た言葉の応酬もいい。
後年の作になるが「ナイブズアウト」のように肩が張らずに
観れるのはイイ!
70点
珍妙な味わいのグルメミステリーコメディに舌鼓
ミステリー、ブラック・コメディ、グルメの盛り合わせ。
近年も変わった味わいの『ザ・メニュー』があったが、こちらもなかなか。1978年の作品。
グルメ誌に批評を掲載する美食家のマックス。が、食べ過ぎで医者から健康を注意されるが、お構いナシ。
ふと思い付く。世界一の料理は何か…?
マックス主宰の女王陛下の晩餐会。世界の名だたるシェフが集う。
そんな中、一人が殺され、また一人が殺され…。
殺されるのは超有名シェフ。
つまり、殺されたら超一流と認められたようなもの。が、殺されなければ…。
死にたくないけど、認められないのもイヤだ。
マックスの料理誌に掲載されたされないでシェフ同士でいざこざ起きるくらい。
超一流の誇り、意地。でも、少々傲慢さも。
皮肉や滑稽をトッピングして。
デザート名シェフのナターシャが推理。
狙われているのはマックスの料理誌に掲載されたシェフばかり。自分も含め。
掲載されなかったグランヴィリエが以前マックスや他のシェフと揉め事。その復讐…? そしたら彼も狙われ…と思ったら自作自演。やはり彼が犯人…?
警察はマックスに目星。
また料理誌に掲載されたシェフが殺され、残るはナターシャのみ。TV収録。
犯人に狙われる。元夫ロビーは彼女を救えるか…? ついでにヨリを戻せるか…?
そして犯人は…。
一応二転三転するミステリーにはなっているが、それが特筆すべきメインディッシュにはなっていなかったかな。
シェフたちが自分の得意料理風に殺されるのはユニークだった。
犯人はマックスの秘書。マックスの食べ過ぎを辞めさせる為、一流シェフたちを次々殺していた。
これがシリアスだったらサイコだが、何だかミステリーとしてちとユルい感じも。
個人的に“メインディッシュ”はまあまあ。
では、何に舌鼓を打つか…?
一癖二癖あるキャラたちが引き出すブラックユーモアの旨味。
ロビーは料理や殺人よりナターシャとのヨリを戻す事に必死。
ジャン・ロシュフォール、フィリップ・ノワレらヨーロッパの名優たち。
何と言っても料理をゴージャスにさせるのは、ジャクリーン・ビセットの美貌。ほんのりお色気も添えて。
彼女が作る豪華スイーツが美味しそう。食べたら“爆発”しそうなくらい。
勿論、グルメ映画。各シェフが腕を振るう超一流料理の数々は極上のスパイス。
監督テッド・コッチェフは後の『ランボー』で知られるが、かつてシェフとして働いていた事もあったという。
もう一つ美味は、ヨーロッパ各地の美しいロケーション。個人的に、これこそ本作一番のご馳走だったかも…?
刺激的な味では『ザ・メニュー』だったが、
何処か滑稽なキャラたち、ブラックユーモア、料理、ロケーション、ジャクリーン・ビセットの美貌…この珍妙な味わいのミステリーをご堪能あれ。
サスペンスコメディ。 名のあるシェフが得意料理に因んで次々と殺され...
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