撮影所殺人事件
解説
「魔の家(1928)」「結婚商売」のフランク・タトル氏が監督したオール・トーキー探偵劇でフォトプレイ誌に連載されたエディントン夫妻合作のストーリーをタトル氏自ら改作し、「レビューのパリっ子」「結婚商売」のエセル・ドハーティー女史が脚色した。出演者は「三週間」「躍る青春」のニール・ハミルトン氏「中華街の夜」のワーナー・オーランド氏「底抜け騒ぎ」のフレドリック・マーチ氏、映画初出演の舞台女優でマーチ氏夫人たるフローレンス・エルドリッジ嬢、「喧嘩機関車」「凸凹サーカスの巻」のドリス・ヒル嬢及びチェスター・コンクリン氏、「カナリヤ殺人事件」のユージーン・ハレット氏等で、レーン・チャンドラー氏ガードナー・ジェームズ氏、ガイ・オリヴァー氏等も顔を見せている。撮影は「底抜け騒ぎ」「父と子」のヴィクター・ミルナー氏担任。
1929年製作/アメリカ
原題または英題:The Studio Murder Mystery
ストーリー
ハリウッドでも一流の映画会社たるエミネント・ピクチュアス社切っての人気俳優リチャード・ハーデルは女殺しと評判されていたが、その噂も満更虚事ではなくハーデル夫人のブランシュは良人の漁色三味に半分ヒステリーになりこと毎に嫉妬の炎を燃やしていた。彼の関係している女の中には欧州から来た監督のルパート・ポルカの夫人もあったが、彼女は最近故国に帰ってそこでハーデルの名を呼びながら死んでしまった。ハーデルはポルカ夫人の帰国以来撮影所の夜警の娘でエキストラ・ガールのヘレン・マクドナルドは口説きにかかっていた。ヘレンにはギャグマンのトニー・ホワイトも思いを寄せていたが、ハーデルは今の妻と離婚してヘレンと結婚すると誠しやかに説いたので、トニーを嫌っているわけではないがヘレンの心はハーデルに傾いて行った。ところがある夜ヘレンはハーデルに離婚する意思なんか毛頭ないことを知り、乙女の心をもてあそぶハーデルを激しく憎んだのであった。ところがその夜の12時前後にハーデルは10番ステージ内で何者にか刺殺されたことが翌朝トニーによって発見された。10番ステージに於ける撮影は直ちに中止され、当夜遅くまで撮影所に居残っていた人々は被疑者として警察に召喚された。それはハーデルに欺かれたヘレンと、妻の愛を奪われたポルカ監督と、嫉妬深いハーデル夫人と、ヘレンを恋しているトニー・ホワイトと、ヘレンが欺かれたことを知って怒っているその兄テッドと、当夜門際で入事不省に陷ったヘレンの父マクドナルドであった。ところが殺害犯人を知っていると言ったマクドナルドは警察署内で毒殺されてしまった。そして状況証拠によって下手人はヘレンと認められ裁判の結果彼女は死刑を宣告された。彼女の潔白を確信するトニー・ホワイトは奮起して真犯人を探し出そうと試みた。真犯人は誰?ヘレンは果たして無罪であろうか?