最後の一蹴
解説
「熱血ボクシング手」に次いで製作されたリチャード・バーセルメス氏主演映画で、キャサリン・ブラッシュ女史作の物語をアデラ・ロジャース・セント・ジョン女史が改作し、ウィルフレッド・ダン女史が脚色し、「紅草紙」「娘新旧両面鏡」等と同じくミラード・ウェッブ氏が監督したもの。助演俳優は「翼の輝き」出演のバーバラ・ケント嬢を始め、ドロシー・レヴィア嬢、アルバータ・ヴォーン嬢、ユージーン・ストロング氏、ヘッダ・ホッパー嬢等の良い顔触れである。
1927年製作/アメリカ
原題または英題:Drop Kick
ストーリー
大学の蹴球選手ジャック・ハミルはその凛々しいスタイル故にスポーツ好きの娘達の噂の種になっていた。中にもシシリーという乙女は心秘かにジャックを崇拝していたが、ジャックは無踏会の夜不図も彼女の純真の愛を知って、それ以来2人の間には楽しい日が続いた。休暇が濟んで帰校したジャックは蹴球部の監督ハサウェイが後始末を頼む旨の書置を残して自殺したので、ハサウェイが虚栄心の強い妻のユウニスを満足させるため費消していた運動部基金の大穴を埋めてやり、ハサウェイの自殺の原因がこの不名譽ことであることを秘密にしてやった。ところがその結果かねてユウニスがジャックに言寄っていたことを知る人々の間にハサウェイの死はジャックとユウニウとの関係を苦にしたためであるという評判が立った。ジャックの財産に目をつけているユウニスはそれをよいことに、死んだハサウェイの好意に酬いるには2人が結婚すべきだと口説いた。ジャックは亡友に後事を托された以上男子として飽くまでも責任を感じているので、やむなくユウニスの申し出に承諾はしたものの、愛するシシリーのことを思えば暗い気持に塞されるのだった。やがて対校蹴球試合の日となった。人々はジャックの活躍を予期していたが心に煩悶ある彼は日頃の勇敢なジャック・ハミルではなかった。試合は味方に不運でジャックは試合半ばにノックアウトされて了った。しかし彼を失って味方は益々不利に陷った。ジャックは燃ゆる愛校心に敢然として起ち、満身の力をこめた最後の一蹴は敵の虚をつき僅かの差で勝利を獲た。称讃荘浴びつつ鉛のような重い心を抱いて黙々と引上げるジャックに喜ばしい便りがもたらされた。それはハサウェイの死に関する一切の事実が判明したのだった。ジャックとシシリーとの欠くることなき幸福の日はかくて始った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ミラード・ウェッブ
- 脚本
- キャサリン・ブラッシュ
- 脚色
- アデラ・ロジャース・セント・ジョン
- ウィニフレッド・ダン
- 撮影
- アーサー・エディソン