ゴリラ(1927)
解説
一昨年来ブロードウェイに於いて長期興行を続けたラルフ・スペンス氏原作の探偵喜活劇を映画化したもので、ジェームズ・T・オドノヒュー氏が改作し、アル・コーン氏及びヘンリー・マッカーティー氏が共同脚色し、「熱血挙闘手」「想ひ叶うて」と同じくアルフレッド・サンテル氏が監督した特作品である。出演俳優は「喧嘩友達」「与太奮戦記」のチャールズ・マレイ氏、警官役者として有名なフレッド・ケルシー氏を始め、「結ぶ縁恋の釣天井」のアリス・デイ嬢、「甘い親爺」のガストン・グラス氏、「ジョアンの嘆き」のウォルター・ピジョン氏、その他タリー・マーシャル氏、クロード・ギリングウォーター氏、ブルックス・ベネディクト氏等のオール・スター・キャストである。
1927年製作/アメリカ
原題または英題:The Gorilla
ストーリー
最近ニューヨーク市に引続いて奇怪な殺人が行われ、人心ために怯々として全市は戦慄した。しかもその犯行の現場から見て1頭の巨大なるゴリラによってこの残虐が繰返されていることが判明したので、警察当局は全市に厳重な警戒網を張り怪物逮捕に努めたが、ゴリラは神出鬼沒未だ捕わるるに至らない。折も折巨万の財産家として著名な実業家サイラス・タウンセンドが一夜何者かのために殺害された。そしてそれは周囲の事情から推して例のゴリラの仕業であり且つその背後にこれを操る怪人物が存在することが判明した。当局からは時をうつさずギャリティー及びムリガンの2探偵を派遺した。さてこのサイラス老人の身辺を巡る人物には、彼の信用ある秘書でサイラスの美しい娘アリスの婚約者たるアーサー・マースデン、多年タウンセンド家に出入してこれも秘かにアリスに想いを寄せているローレンス・スチーヴンス、及び事件発生以来この家に入込んできた新聞記者ジャック・シモンズの3人であった。その立場から考えて最も嫌疑濃厚なマースデンから訊問が開始されることになった。ところが何時の間にか机上に1通の手紙が置かれてあった。それには今夜12時ゴリラ再び襲来すべしと認めてあったのである。人々は緊張と恐怖のうちに空しく時計と睨めっこをしていたが、サイラス老人の遺書がアリスの手によって開かれようとした時、突如電燈が消えた。そしてアリスが気付いた時には彼女の手には遺書は無かった。続いて不可解な事件の突発、遂にゴリラはその怪異な巨躯を人々の目の前に現した。この怪物とその背後の人物とはそも何人であろうか?
スタッフ・キャスト
- 監督
- アルフレッド・サンテル
- 脚本
- ジェームズ・T・オドノヒュー
- 脚色
- アル・コーン
- ヘンリー・マッカーティー
- 原作
- ラルフ・スペンス
- 撮影
- アーサー・エディソン