コサック(1928)
解説
「ビッグパレイド」「見世物」と同じくジョン・ギルバート氏とルネ・アドレー嬢との共演映画でロシア文豪トルストイ翁の筆になった原作を「好いて好かれて」「真紅の文字」等のフランセス・マリオン女史が脚色し撮影教本を書き「大飛行艦隊」「海洋児クーガン」のジョージ・ヒル氏が監督した。助演者としては「シンガポール」のアーネス・トレンス氏、「暗黒街の女(1928)」のメアリー・アルデン嬢、デール・フラー嬢、ジョセフィン・ポリオ嬢その他が出ている。カメラは「バレンシア」「黒い鳥」と同じくパーシー・ヒルバーン氏が担任。
1928年製作/アメリカ
原題または英題:The Cossacks
ストーリー
精悍無比をもって鳴るコサック兵の隊長イバンの息ルカシカは臆病者で家名を汚す不肖の子であった。殺伐、傲慢な動作をなす者が典型的男子と考えられていた時代なのでルカシカの感傷的な気質や行動は軟弱極まるものとして兵十たちからは軽蔑の眼をそそがれ、婦女子は彼を嫌悪していた。ここにただ一人マリアナという活発な農夫の娘は母の叱りを受けながらも彼を愛していた。ルカシカの柔弱な振舞いを目撃したコサック兵たちは彼を捕らえて街を弾き回し女子の着物を着せ樹にくくったりなどして侮辱を加えた。ルカシカは堪えられない屈辱にマリアナに助力を乞うたがマリアナも余りの彼の不甲斐なさに愛想をつかしてしまった。恋人からは見捨てられ衆人からは侮辱を受けた彼が家にかえれば又父親は激しい折檻を彼に加えた。彼は失望のどん底に衝き落とされ心身ともに困憊した。だがその困憊の底にあって彼の体内に宿っていた豪気な気質が目覚めて来た。父の折檻の鞭をのがれて戸外に出た時、捕虜のトルコ兵がロシア人を倒して脱走を企てた。ルカシカは奮然躍ってトルコへ伊を倒したのがコサックへ異に眼に勇敢なる行為と映じたちまち勇士としてコサック兵に編入された。父のイバンの喜びは喩ようもなかった。マリアナもまた彼に慕いようったが彼の心は既に荒んでいて彼女を眼中にも入れない。そしてジプシーの女に戯れては粗暴な軍人気質を発揮していた。ロシアは再びトルコと戦いを交えることとなりコサク兵は出征した。ルカシカは父の剣幕に参じて戦いに臨んだ。トルコ兵は奇襲を試みて功を奏しコサック兵は一敗地にまみれイバン父子は危地をようやく脱して帰国した。マリアナはルカシオの墜落した姿を憎みモスコウから皇帝の使者として来たオレニン公の寵愛をうけ婚約までしたがマリアナがオレニン公と馬車を去らせていた時、トルコ兵が襲いオレニン公は敵の刃に倒れた。ルカシカは救助に向かったが捕らえられ父のイバンとともに敵のために残忍なる刑に処せられんとしたが援助に救われた。マリアナの憎悪の念はいつか氷解していた。2人の愛は蘇り将来を誓った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョージ・ヒル
- 脚色
- フランセス・マリオン
- 原作
- トルストイ
- 撮影
- パーシー・ヒルバーン
- 美術
- Alexander Toulboff
- セドリック・ギボンズ
- 題字
- ジョー・ファーナム