霧に立つ影
解説
「シナラ」「仮面の男(1933)」のロナルド・コールマンが20世紀映画社に入っての題1作主演映画で、H・C・マクニール作の冒険小説に基づいて「ロスチャイルド」「坊やはおやすみ」のナナリー・ジョンソンが脚色し、「失踪者三万人」「スター悩殺」のロイ・デル・ルースが監督に当たり、「ロスチャイルド」「新世紀」のペヴァレル・マーレイが撮影した。相手女優は「キャラバン」「ロスチャイルド」のロレッタ・ヤングで、「地獄特急」「散り行く花」のワーナー・オーランド、「猫と提琴」「妾の弱点」のチャールズ・バターウォース、「ロスチャイルド」のC・オーブリー・スミス、「ベンガルの槍騎兵」のキャスリーン・バーク、「青空天国」のアーサー・ホール等が助演している。
1934年製作/アメリカ
原題または英題:Bulldog Drummond Strikes Back
ストーリー
ロンドン名物の霧の夜の出来事----ブルドッグ・ドラモンドは親友アルヂーの結婚式に呼ばれてアフリカから帰ってきた。式後ドラモンドは唯一人霧の中を歩く途中路に迷って付近の家へ電話を借りに入ったとき、そこに1人の男が殺されて横たわっているのを発見した。すぐに警官を呼びに行って引き返してみると家の内部の様子は寸分変わりないのにそこには死骸の影も見えず、インドの貴族アクメッド公爵とその娘夫婦の和やかな団欒の有り様に茫然として引き下がった。しかしこの家に重大な犯罪の秘められていることを看破したドラモンドは昔馴染みのニールスン探偵を起こしてこの始終を語ったが、一向に取り合わない。そのときニールスンを訪ねたロラ・フィールドという娘の口からアクメッド公の後見人をしている彼女の伯父が公爵の命令によってインドの侯爵の全財産を売り払って高価な毛皮に替え船に積んで彼女らと共に今朝ロンドンへ到着したのであったが、その航海中ポート・サイドで1人の病水夫を上陸させたが、それから間もなく伯父はポート・サイド発の無電を受け取った。その内容は非常に重大な事らしく、今朝ロンドンへ着くと早々伯父は公爵の許へ行ったが大切な無電を忘れていったので彼女がそれを持って伯父の後を追ったところアクメッド家では伯父が来ないというのである。ドラモンドは先刻公爵邸で目撃した光景と照らし合わせていよいよ事件の容易ならぬ事を察して新婚早々のアルヂーを呼び寄せ、彼女の持っている暗号無電の解読を頼んで事件の探索を進めるが、公爵の犯罪の網も巧みに張られ、事々に先手を打たれる。ロラの宿泊しているホテルの室の謎、伯母の行方不明に続いてロラの誘拐と不可解な事件続出にドラモンドは単身公爵邸へ乗り込む。そこでロラの伯母を救い出し、ロラもまた公爵から無電の行方の白状を迫られているところだったので公爵の一連との間に激しい争いが開始される。この時無電の解読をドラモンドに渡しにアルヂーがやって来たが、自分が危地にある事を気付いて解読を飲み込んでしまった。ドラモンドとアルヂーは地下室へ監禁されたが、アルヂーから無電の内容がポート・サイドで上陸させた水夫がコレラで死んだことを報じたものだったと聞いて、そこを逃れて波止場へ駆けつけ、公爵の船に火を放った。公爵はドラモンドを訴えるといきまいたが、ドラモンドの機知で無電の原文も発見されまたロラの伯父が公爵の秘密隠匿を拒んだため殺害された事実も暴露されて公爵自身で自滅する。アルヂーは無事に新妻の許へ帰り、ドラモンドはロラと結婚する事になった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ロイ・デル・ルース
- 脚本
- ナナリー・ジョンソン
- 原作
- H・C・マクニール
- 製作
- ダリル・F・ザナック
- 撮影
- J・ペバレル・マーレイ