楽聖ショパンのレビュー・感想・評価
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感動作
ショパンの生涯に詳しい人が観たら余りの脚色に異を唱えるかも知れませんね。
ハンガリーの劇作家エルンスト・マリシュカがショパンの伝記を基に脚色した1934年のフランス映画La Chanson de I'Adieu(別れの曲)のリメイク作品です。
ショパンに音楽理論や作曲を教えたのはエルスナー教授ですが一緒にパリには行っていません、映画ではちょっとコミカルに脚色、まさに楽聖ショパンの恩師兼プロデューサーのような役回りでした。映画はこの妙な師弟関係をベースに早逝した天才青年ショパンの半生が描かれています。まあ、簡略化し過ぎとは思いますがショパンならさもあらんと思わせる感動作としての仕上がりは見事なものでした。
創作も多いらしく、ショパンとサンドの関係性の真実に、興味を覚えた。
1945年製作のアメリカ映画、原題:A Song to Remember。
ショパンの一生が描かれているが、史実通りではない様である。1945年という時節柄か、ショパンの祖国への貢献が、本映画ではかなり事実を捻じ曲げて強調されていた。
また本映画ではサンドがショパンを誑かす悪女の様に描かれている。しかし、彼女が主張してた演奏ではなく作曲により専念したことで、実際に多くの優れた楽譜が創作された。彼女が言う通り、ポーランド独立のための演奏旅行も彼の命を短くしてしまい、ショパンのことを考えたら彼女の主張は正しいとも思ってしまった。
見どころはやはり、ショパンが弾く名曲の数々か。
英雄ポロネーズ (Op.53)、別れの曲(Op.10-3)、モーツァルトのピアノソナタ k.545 ハ長調:子供時代の演奏、子犬のワルツ(Op.64-1)、マズルカ 第5番(Op.7-1)、幻想即興曲 (Op.66): 貴族の晩餐会にて、エオリアン・ハープ (Op.25-1)、ベートーヴェン 月光ソナタ (Op.27-2)、スケルツォ第2番 (Op.31): 暗闇の中で弾いた曲、夜想曲 第2番(ノクターン) (Op.9-2):サンド宅にて、子守歌 (Op.57):教授訪問時に弾いていた、3つのワルツ 第7番 (Op.64-2):教授がリストから招待された演奏会にて、木枯らしのエチュード (Op.25-11): 演奏旅行時、バラード 第3番 (Op.47)、軍隊ポロネーズ (Op.40-1)、ワルツ 変イ長調 (Op.42)、3つの華麗なる円舞曲 (Op.34-1)、革命のエチュード (Op.10-12)、スケルツォ第2番 変ロ短調 (Op.31)等と、有名曲がずらりと並び、嬉しく感じた。
監督チャールズ・ビダー、脚色シドニー・バックマン、原作エルンスト・マリシュカ、製作シドニー・バックマン、撮影トニー・ゴーディオ アレン・M・デービー、音楽監督モリス・W・ストロフ、音楽監修マリオ・シルヴア、編集チャールズ・ネルソン、編曲ミクロス・ローザ。
出演
ポール・ムニProf._Elsner、マール・オベロンGeorge_Sand、コーネル・ワイルドFrederic_Chopin、スティーブン・ベカシーFranz_Liszt、ニナ・フォックConstantia、ジョージ・クールリスLouis_Pleyel、シグ・アーノHenri_Dupont、Howard FreemanKalkbrenneHoward Freeman、ジョージ・マクレディAlfred_de_Musse、クレア・デュブレイMadame_Mercire。
大林宣彦監督の『さびしんぼ』を思い出す。
『ポーランドとロシアはいがみあっている。しかし、支配者は憎み合うどころか、仲が良い。支配者は人民を抑圧し、いがみ合わせている。』劇中のヤンの言葉。嘘か真かはわからないが、ポーランドの立場を良く言い表していると思う。
それを含めて、映画の信憑性を読む必要性は残るが、僕はこの映画だけで、充分に共感できる。
ショパンの曲に魅了されるのは、ミーハーな事かもしれないが、そのくらい、誰からも愛された作曲家と僕は思っている。この映画に登場していない音楽で、一度は聞いた曲は50曲以上あると思う。
別れの曲はあとから付けられた副題だが、大林宣彦監督の『さびしんぼ』を思い出す。
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