憧れの国

解説

ジョージ・バー・マッカンチョン氏の小説の映画化で、アグネス・クリスティン・ジョンストン女史が脚色し、タルマッジ姉妹の映画を長らく監督していたシドニー・A・フランクリン氏が監督したものである。主役は「武士道華かなりし頃」「我が懐かしの紐育」「オランダ姫」等主演のマリオン・デイヴィース嬢で、「あれ」「明眸罪あり」のアントニオ・モレノ氏が相手役を演ずるほか、「猫とカナリア」のクレイトン・ヘール氏、「最後の警告」のロイ・ダルシー氏、「ローンウルフ」のポーレット・デュヴァル嬢、「四人の息子(1928)」のアルバート・グラン氏、等が助演として出演する。

1926年製作/アメリカ
原題または英題:Beverly of Graustark

ストーリー

ビバリー・カルホーンは学校の寄宿舎に入っている娘であったが、従兄のオスカーが欧州の一小王国グロースタークの統治者として急に迎えられたので、日頃ロマンス的なことに憧れる彼女とて直ちに従兄に同行してグロースタークに出かけて行った。元来、オスカーの母というのは同王国の貴族であったが、アメリカ人と結婚し、政変に巻き込まれ、2人ともアメリカに追放せられたのであった。で、今その子たるオスカーが晴がましくも、グロースタークの統治者として迎えられるのであった。が、一方、グロースタークには王位を狙うマルランクスという将軍がいて、オスカーをその入国時に暗殺しようとして準備おさおさ怠りない。オスカーの一行が国境まで来た時、オスカーは好きなスキーに出かけ負傷し、数日絶対安静を要することとなった。かかる内に、マルランクス将軍の命を受けたサラノフが護衛兵を引率して出迎えに来たので、オスカーの顔が未だ誰にも知られていぬのを幸い、ビバリーは男装してオスカーの身代りとなる。サラノフがビバリーを連れて行くと山間で不意に羊飼の一隊が現れ、彼らを捕え、代りにビバリーを護送して行った。マルランクスは最初の謀が無効に終ったのにも屈せず、なおその陰謀を進める。そしてビバリーの男装姿に不審の眼を向けるのであった。四辺皆敵のビバリーの唯一の力となってくれる者は、かつて彼女を救ってくれた羊飼の頭ダントンであった。ビバリーは彼に恋を感じた。そして彼女は婦人服を着て彼の前に立って見た。するとダントンはたちまち彼女を恋してしまったが、その女の姿がオスカーの公の室に入って行ったことから、ビバリーのオスカーに恋仇として決闘を迫った。その間に、マルランクスはオスカー公が実は婦人の変装しているものであることを突きとめ、これを利して王位を奪わんとした。が、その時、折よくも全快したオスカーが駈けつけたので、ことなきを得た。ビバリーはダントンが実は彼女とは知らずオスカー公に宛てた手紙を見て恋の破滅に悲観していたが、その後、隣国の国王が訪問した来た時、ダントンが実はその王子であることを見出して喜んだ。王子が羊飼へ身をやつしたのは、隣国にことなかれと命じた王子の好意であった。ビバリーと王子とは結婚した。そこでビバリーは日頃の夢想が実現されお姫様となり得たというわけである。

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