「超個人主義のフランス人の不思議」フランス、幸せのメソッド rikoさんの映画レビュー(感想・評価)
超個人主義のフランス人の不思議
内容はゴリゴリの社会派ドラマです。
恋愛要素は少なめだし、
パリの美しい景色もないので、
それ目当てならパリジュテーム とか見たほうがいいかも…
三人の子持ちのシングルマザーと株取引で成功している冷酷な金持ち、少しづつお互いに惹かれいやがてというよくあるシンデレラストーリーですが完璧に裏切られます。邦題とパッケージでラブコメ感ありますが全然幸せのメソッドではなく労働者階級からの復讐劇です。
印象に残ったのは、娘三人とスーパーでジュース好きなだけ買っていいわよとダンスして幸せそうな一コマ、貧困層の彼女たちにとって
子守の収入一日100ユーロの手当ては高額です。最初45ユーロでも貰いすぎかしらと躊躇してたしね…
スーパーで好きなだけ食料品を買えるのが彼女達にとっての幸せはステファンには理解できないのです。
二つ目が序盤でモデルをナンパして、
ベネチアに自己所有の飛行機でデートするのですが完全にセックス目的で
モデルの子に一日目では寝ないの心が伴ってないといや!と言われ一気に不機嫌に心なにそれ?嫌々ゴンドラに乗って観光するのですがモデル置いて船降りて置いてくし…結局寝るんだけと目的果たしたらさくっと帰る酷さ、経営者とかにサイコパス多いと言いますがステファンは完全にそうですね、共感や人の心を推し量ることなんてしませんし気にしません彼にとって大事なのは自己愛と金、やれそうな美人にしか興味がないのです。
そんなステファンとフランスがやがて惹かれ合い寝るんですが
フランスがステファンのせいで工場が倒産したとして愕然とします。でも世間って狭いなくらいで申し訳ないとかそんな素振りもない、じゃ息子の面倒よろしく!っとさくっと行ってしまいます。
それでも職務を果たそうと公園に連れ出すんですが、ステファンが電話であの家政婦とヤッたよ中々良かったと友達と電話しているところをフランスは聞いてしまいます、多分これ聞いてなかったら誘拐なんてしなかったと思いますあくまで私見だけどね
そしてラスト息子を誘拐し地元に帰り、
ダンスの発表会の劇場で解雇された人たちと警察官と衝突します。
ママを助けたいと言う気持ちはわかるのですか、そのほかの人たちは基本関係がないのに、
一致団結して逮捕されたフランスを助けようとします。超個人主義なのにこれが正義となると一致団結する不思議なフランス人、シャルリーエブドを思い出します。一方ステファン解雇された人たちの憎悪を一身に受け暴行それ逃げ回りますとここで最後そんなステファンを見てフランスが笑って終わりと言うバットエンドなのです。
誰も幸せになってないし何も解決しないし格差のある2人は何も理解しあえず終わるのです。
改めて個人主義のフランス人が団結して富裕層や政府に立ち向かうイエローベストデモを思い出しました。この映画にはフランスのかかえる経済格差や失業率の高さをまざまざと見せつけられます。
パリに行った時、高級車にのりヴァンクリ買う富裕層とマクドの前にあるゴミ箱を漁り破棄されたバケットをバックしまう人を見ました。彼らは同じパリに居ましたが背景がまるで違います。移民も多く有色人種は清掃業や肉体労働系の仕事ばかりで、
ホワイトカラー高収入の仕事はグランドゼコール出の白人のみです。とても排他的で成り上がりは許されない階級社会です。美しい街ですがそれだけに影は濃くそれを知った上で観ると最後のフランスの笑みは胸にくるものがあります。