「そして俺は、静かに去る。」そして友よ、静かに死ね ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
そして俺は、静かに去る。
すでにタイトルがラストを明示している珍しい作品。
あらすじその他を一切知らずに観たため、観終えてから
ちょっと勉強したら、これは実在のギャングの話だった。
主人公のエドモン・ヴィダル(通称モモン)は、1970年代の
フランスで「リオンの奴ら」と呼ばれた犯罪者であった。
映画ではすでに組織から足を洗った彼が、子孫に囲まれた
幸せな老後を地味に送っている中、囚われた過去の親友を
助ける羽目になっていくクライム・サスペンス。
過去の回想犯罪が全て日付入り(○○銀行・1970年○月○日)
だったので、そのへんでアレ?これ実話?なんて思ったが、
彼らの現在の顔と過去の顔があまりに違いすぎているため、
ちょっと分かり辛い。まぁ名前を覚えればそれなりに段々
分かっていくのだが、やや過去の俳優陣と現在の俳優陣に
落差がありすぎるところが難点かなぁ。
この監督の「あるいは裏切りという名の犬」は面白かった。
あ、そうか。この監督の作品にはこんなタイトルが多い^^;
そして。やがて。いずれ。あるいは。(常に説明調である)
これも良く似た感じに仕上がっているが、とにかく主役の
J・ランヴァンがカッコ良すぎる!ナンだこの還暦親父は。
近年のフレンチノワールによく出てきた俳優さんだけど、
共演するT・カリョと合わせて名演技対決!といった感じ。
二人が巧すぎるから、過去の若手が見劣りしちゃうのか…。
まんまと警察を出し抜いて助け出した親友と娘家族だが、
過去の事件から密告者が誰か、という疑惑が浮かび上がる。
モモンは当てを辿り、淡々と復讐を遂行するのだったが、
その先にはさらに重要な裏切りが待ち構えていた…。
ラストのほろ苦さが効果満点。
残酷な描写があれど、最大効果を醸すのは静かなる制裁。
いぶし銀の魅力が全開の老人効果満点作品。
(しかしああいう家系出身の子供たちって、毎日が恐怖だな)