伏 鉄砲娘の捕物帳のレビュー・感想・評価
全4件を表示
しっくり来るのかどうか
里見八犬伝を知らない人の感想ですが。
冒頭早々の説明部分、「猟師と獲物の間には互いの心に繋がりたいと言うおかしな絆が生まれる」で、少し違和感があって、話が進むにつれて?が大きくなってしまった。
追う者と追われる者のなんとなく引き合う関係、例えばルパンと銭形みたいのとかがあるけど、今回のは狩る者と狩られる者みたいな一方的に命を奪われる状態なわけで、これでお互いが繋がりたいというのは狩る側の身勝手な妄想に感じてしまう。
途中で「あいこにしてこい」という言葉があるのだけど、そのシーンではあいこでもいいのだけど、冒頭の通常の狩りの時はあいこにはなりえないし、それ以降で浜路が狩りをする時に考え方が変わったとしてもあいこにはできないしなぁ、とか(ちなみに本当の猟師さん達も何も考えず動物を殺戮しているわけではないし、狩りは狩りとして行動すれば良いと思うのですけど)。
おそらくこの設定が大前提でストーリーが進むので、ここで「なぜ?」が出てしまったために、物語に素直に入り込めなかった。
「繋がる」がポイントになっているのだと思うのだけど、途中、浜路と冥土が繋がったのは、なんというか「繋がる」の乱用のような気もしないでもなくて。
それとこれも大事だと思うのですけど、「伏」について。
こちらも序盤に「身も心も獣みたいだからって伏と呼ばれている」というセリフが出てくるのですけど、なんで「身も心も獣みたいだから」「伏と呼ばれ」るの?と思ってしまって、「伏」の感じの成り立ちまで調べてしまったけど、やっぱりわからなかった。
「人の横に犬」というのは面白いのだけど、上手い繋げ方が思いつかなくて、力業で進めたのかなとか。
もしかすると里見八犬伝を知っていると、わかるのかなぁ。
気持ちがのったら読んでみようかな。
初見で良さがわからずに、ところどころ見直してみたりして、やっぱり全体的には何か気になる映画ではあったと思います。
不思議な江戸時代も面白いし、charaさんのエンディングもよかったし。
キャラクターはなんだかクレヨンしんちゃんの映画で見たようなクニャクニャした動きで、これも個性的で面白かったです。
他の人も指摘していますが、どことなくカリオストロやハウルとかジブリ感もあるけれど、これでマネとか似ているとまでも言えない感じで、十分オリジナル感は感じられました。
全体的に雰囲気はよかったと思う。
もう少し?を感じずにいられたら、物語に入り込みやすかったと思います。
色々ひっくるめて、良かった。
伏を知ったきっかけは、何か別の映画を見に行った時に流れた予告。
カラフルな色彩、あらすじ、スタッフやキャストに惹かれて見に行きました。
まずキャラクター。
浜路やその兄道節、長屋の仲間たち。非常に個性的で魅力的なキャラクターがそろっています。
セリフや動きが面白く、吹き出す場面も。
そして何より、犬と人とのあいの子である伏の生き残り・信乃がとても魅力的に描かれています。
信乃が背負う伏の運命が彼を一層引き立てます。
美術も、色彩鮮やかでとてもきれいでした。
okamaさんによる素朴なタッチのキャラクターとマッチしていて美しかった。
演出も、なかなかおもしろくてよかったですね!
ただ、キャラクターのしぐさや画面の節々で、ジブリの「千と千尋の神隠し」を彷彿とさせます。
個人的には好きですが、気になる人はこれが気になるかもしれないですね。
内容は、とても惜しかった。
原作は未読ですが、きっと長く中身がぎゅっと詰まったものを映画という尺に収めようとしたのだろうということがうかがえました。
ただ、そのため説明不足の箇所が多く、何故将軍は巻物から剣を抜けたのか?
何故、結界?がはられたのか?
諸々説明不足です。
また、信乃と浜路が心を通わせていく様子をもう少し丁寧に描いてほしかった。
最後のシーンはいささか唐突すぎます。
キャラクターも美術も素晴らしいので、前編・後編でもして描ききるとよかったのにと非常に残念です。
ただ、何度も言いますが設定やストーリがとてもいいので、考察の余地を与えてくれるという意味では楽しませてくれる作品でした。
行間を読ませてくれるだけの情報は与えられるので、映画を観終わった後にここはあぁなんじゃないか、あれはあぁなんじゃないか・・・と考察するのが楽しかったです。(ニッチかもしれませんが)
その考察を確かめるために原作を読みたい!原作を見たら改めて映画を見たい!そんな気持ちにさせてくれる作品でした。
内容が惜しい作品なので、正直安直におすすめはできません。
ただ、キャラクターがそれを補って余りある。
ストーリー以外の要素を楽しめて、さらに考察も好きな方にはぜひ見ていただきたい作品です。
うーん…
なるべくネタばれは含まないように書きますが念のためネタばれ設定しておきます。
原作は読んでません。
正直、「うーん…」でした。
無駄な演出がどうも流れを壊していた。
そこでそれ必要?というか、それで表現しきれてなくね?という感じ。
話の肝も、恋愛なのか、種族間争い(?)なのかふわふわ(一応恋愛?)していて、いろんな人間間模様は見れたがどれも感情移入する前に終わってしまい、感情の揺れ動きは激しいのだがまあまあ唐突で微妙に置いてけぼり。
シナリオ的には消化不良の映画。
BGMは、悪くはないがそれほど良くもない。途中ではいる挿入歌も、必要性を感じなかったために「それ必要?」状態。挿入歌で無理やり切ないというかそういった感情を引き出そうとしている感じがよろしくない。
しかし、色彩は綺麗な部類。
キャラの表情も力いっぱい。
キャスティングも素晴らしい。
何より信乃の佇まいがカッコよかった。
だけに、惜しいな、と思ってしまう作品。
「きっと製作者はジブリが好きなんだろうなあ…」
と。終始感じられます。
静と動をジブリから学んだんだろうなあ…。
1回見たらそれで十分。
ごちそうさまでした。
信乃の立ち姿。
滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』をしっかり読んだ記憶はないが、
映画ファンからするとどうしても、薬師丸ひろ子の「里見八犬伝」の
印象が強い。JACメンバー出演のアクションエンターテインメントと
いうカッコいいイメージしか残っていなかったため、今作はどうも
ピンとこなかった。
とはいえ、大胆な脚色を経て贋作として作られた物語だそうなので
あ~なるほど…という感じではあった。
しかしどうも仮想空間の江戸、っていう^^;
(特に冥土のファッションとか)台詞回しも今ひとつ共感度に欠ける。
あまり時代性を考えず、独自の世界観に浸って観た方がいい作品
なんだろうと思う。
絵は綺麗だが、かなりゴチャゴチャしており、スピード感はあるが
其々のキャラへの感情が入りにくいところが難点。
じっくり見せよう…というタイプの(古いか)作品ではないみたいだ。
しかしチラシやポスターの信乃の立ち姿がとても魅力的。
粋で往なせなイメージが巧く絡んでいて、このキャラはとても
興味深かった。一応謎が含まれた話なんだろうけど、そもそもが
八犬伝!と銘打っているため、誰が「伏」なのかはほとんど分かる。
主人公の浜路(映画では岡田奈々だった)は一見男なのか女なのか
…という設定のようだが、どう見ても女の子!^^;と思いながらも、
彼女が江戸に出てきて兄の長屋に身を寄せ、様々な文化を吸収する
様子は観ていて面白かった。髪をバラン~と下ろした浜路はとても
愛らしく、いきなりここで浜路が女になったイメージすら抱かせる。
兄の手伝いで(一応立派な猟師という設定)伏退治に張切る浜路だが
最初に助けてくれた信乃のことが忘れられない。
その後、潜伏していた伏の正体が次々と判明していくのだが…。
「家族」「運命」という部分に焦点をあてると、
とても悲しく切ない話なので、なにが正義かとはいえない曖昧さが
残るが、信乃と浜路のラブストーリー(急に子供から大人になった気が)
のように展開する後半~ラストは、相手が犬だろうと人間だろうと共存
する道を探し求める戦いのような様相になる。
もはや敵はあの将軍・家定か?(これもまた堺雅人の顔が浮かんで困った)
狩る者と狩られる者の因果が、まさかああいう形になるとはねぇ…。
いちばん気になったのはCharaの声。
エンディングテーマもそうだが、このキャスティングが一番の謎。
(歌丸師匠はそのまんまの感じ^^;残りの声優陣も皆良かったのにねぇ)
全4件を表示