「楽しいのだが新鮮味に欠ける」モネ・ゲーム マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
楽しいのだが新鮮味に欠ける
コリン・ファースが紳士的で知的だが慣れない詐欺でドジを踏む美術学芸員ハリーを好演。
ネアカな天然テキサス娘PJにキャメロン・ディアスもぴったりだ。
人を人とも思わない大富豪シャバンダーのアラン・リックマンも持ち味を出している。あの顔と頭髪はライオンを連想させる。そのライオンだが、ポスターになぜかライオンが・・・。思わぬところで出現するからお楽しみに。
モネの完璧な贋作、完璧な計画、そして完璧なキャスティングだ。
最初に完璧な筋書きを見せておいて、実際とのギャップを押し出して笑わせる演出も悪くない。繰り返しの可笑しさを取り入れた高級ホテルでのギャグも楽しい。
ただ、どれもどこかで観たことがあるカットばかりで新鮮味がないのが残念。
悪役にあたるシャバンダーもただのマヌケで狡猾さがない。そのため、詐欺が成功するか、緊迫感に欠ける。コメディとはいえ、名画による詐欺がテーマなのだから、カモはしたたかな方がおもしろいに決まっている。
ラストの一発逆転を狙った行動が早くから読めてしまうのも、やはりどこかで観たことがあるパターンで斬新さがないからだ。もっと驚きの一手を期待した。
ただ、爽やかなラストではある。役者の持ち味に助けられた恰好だ。
けっきょく、この映画で一番楽しかったのが、贋作の名人“少佐”を混じえた4人にそっくりな絵が動きまわり、物語の展開を予感させるタイトル・バックのアニメだったというのはちょっと皮肉。
話に絡むおバカな日本人たちが、ただのおバカでなくてよかった。
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