「サイコパスの表現に疑問あり」悪の教典 みじ~さんの映画レビュー(感想・評価)
サイコパスの表現に疑問あり
サイコパスの第一のイメージは「人に取り入るのが非常に上手い」ことです。
ですが、作品上にはその取り入りの上手さが十分に演出されていなかったように思われます。
それ故に「人気の教師」というイメージが薄いです。
生徒は皆「ハスミン」と愛称で呼ぶのですが、「そんなに仲良かったっけ?」という感じがチラホラでてきてしまいます。また教師からの信頼も確認できません。
原作では、青春群像劇が描かれているそうなので、そのカットが痛かったのではないかと思われます。
原作は未読なのですが、途中の銃が怪物化している演出は何を示しているのでしょうか。
サイコパスは幻覚が出るような病気ではなく、そういう人間構造と言ったらよいのでしょうか、他人への罪悪感、共感性がない性質の人間を指します。
なのに、幻覚のような演出をしてしまうと、「ん?ほんとにサイコパス?」といった印象を受けてしまいます。最後の「神がやらせた発言」とも区別がつきませんよね、あれは演技な訳ですが。
生き残った生徒が「あれは次の計画だ」というようなセリフを吐きますが、普通「狂っている」と思うでしょうに、蓮実の性質を見抜く理由も今一つ納得できません。
加えてサイコパスは自分の利益や達成、充足を目的に、他者を顧みずに行動するために、他人を操ったりするわけですが、この「目的」が分からないんですよね。
途中で「殺人は快楽ではない」と断言していますし。生徒を殺しまくる「目的」が分からないです。
あんまり楽しそうではないですしね。これでは本当にただの使命感に取りつかれた「狂った人」になってしまいます。
酷評を書きましたが、内容としてはまとまっていて見やすかったです。
この残酷極まりない映画を日本でできるのも驚きました。生徒死にまくりますからね。
あと洋画等で拳銃で人が撃たれるシーンを良く見ているせいか、猟銃(ショットガン?)で生徒がぶっ飛んでいく姿は怖かったです。物みたいに飛んで行くのは、寒気がありました。
撮り方に関しては知識がないので、悪い方面の評価は控えさせていただきます。
良い方面は、最後の蓮実が口笛を吹くシーンで、警察を上手く消してあったのが、生徒から見た蓮実の内面を見ているようで、おもしろかったです。
映画を見た方で、共感した点や、こう思うなどの意見があればコメントを下さると嬉しいです。
たべをさんへ
コメントありがとうございます!
共感していただけて嬉しいです。
テレビ版があるのですね。
それが序章と言うやつでしょうか・・・
そっちでしっかり描かれているのだとしたら、少し早とちりになってしまったやもしれません。
こりゃ見ないといけませんね!
ご意見ありがとうございました。
今日見てきました。
作品の全体的にすっきりとして見やすかったというところにとても共感できました。
蓮実の招待がじわじわとあきらかになりそのえであの行為に及ぶまでが良い流れで描かれていたのではないかと思います。
そのほかにもサイコパスとして描写の少なさや最後に生徒が本質に気づくという点でもおなじような感想を持ちました。
私も原作は読んでいないのですが、人付き合いや生徒に慕われる描写としては、テレビ版の悪の教典(30分で4,5話くらいあったと思います。)のほうで蓮実が生徒の抱える問題や教師のいざこざなどを解決する場面が描かれています。
私は動画サイトで見ましたが、このTV版はご覧になられたでしょうか?
もし見ていないのであればこれを見ると物理教師の背景などもわかって面白いです。