「タイトルなし(ネタバレ)」籠の中の乙女 ryoさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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ヨルゴス・ランティモス監督の『籠の中の乙女』は、まったくもって常軌を逸している。それなのに、何ともいえない面白さがある。両親が子どもたちを完全に隔離した奇妙な家庭で、独自ルールが絶対の“箱庭世界”が作られている。海外レビューでは「不安と笑いが同時に襲う異常なコメディ」と表現されていたが、本当にその通りだ。
家の外へ出ると死ぬという嘘の教育、言葉の意味を勝手に書き換える親、不可思議な遊び。淡々と描かれることで逆に不気味さが感じられる。
ラストのあの“音”を伴う静かなシーンは、衝撃というより虚脱感に近い。寓話でもあり、ブラックユーモアでもあり、家族という制度の暗部でもある。クセが強いが、刺さる人には深く刺さる一本だ。
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