「巡礼は目的地ではなく道中に意味がある」星の旅人たち TSさんの映画レビュー(感想・評価)
巡礼は目的地ではなく道中に意味がある
サンディアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を旅する主人公たちのロードムービー。
不慮の事故で亡くなった息子を迎えに行った父が、そのまま息子が辿ろうとした巡礼の道を歩き始めるところから物語は始まり、道中で出会った3人の巡礼者とともに聖地を目指す。
最初は亡くなった息子への想いを抱えて心を閉ざしている様子だった主人公が、3人の巡礼者と共に歩むことで徐々に心の扉を開いていく様子が、美しい巡礼路と共に描かれる。
ゴールに向かって一直線な巡礼路。古今東西、巡礼路とは概ねそういうものらしい。イスラムのメッカへの巡礼路も、日本の熊野古道もそう。しかし、それと全く異なるのが四国88カ所の円環の巡礼路。
車で何度か四国を巡った。特に信仰心があるわけではない。正直、1回目は感慨もなく、巡礼の意味が分からなかった。3回目の途中でようやく巡礼の意味がつかめた気がした。ゴールすることに意味はない。その道中の出会い、道中での内省に意味があるのだと私は思っている。そして、今年から歩き始めた。長い休暇が取りづらい仕事をしているが、何年かかってもいいので、ゆっくりと歩くつもりだ。
この映画で描かれる登場人物達もまた、道中での出会いや体験、会話で何かを掴んだように見えた。私にはこれからどんな出会いが待ち受けているのだろう。そんなことに思いを馳せた。
コメントする

