劇場公開日 2012年5月19日

「誰の心にも温かく切なく心地良い、昔懐かしい良質のアニメーション」虹色ほたる 永遠の夏休み 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5誰の心にも温かく切なく心地良い、昔懐かしい良質のアニメーション

2014年2月11日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

幸せ

一年前に交通事故で父親を亡くした小学6年生のユウタは、夏休み、父とよくカブトムシを捕りに行ったダムのある山奥へ。突然の豪雨に足を滑らせ、意識を失い、目覚めると、30年前にタイムスリップしていた…。

長き歴史を持つ東映アニメーションが、“あの頃”に浸らせてくれる。
大自然に囲まれた村、友情、淡い初恋、一夏の出来事…。
ベタと言ったらそれまでだが、あの山々の景色、そして物語のキーとなる蛍の群れの美しさを見よ!
誰の心にも、温かく切なく心地良く、郷愁を誘う。

本作はキャラデザインが話題。
良く言ったら素朴、悪く言ったら雑かもしれない。
だけど、その昔懐かしい画のタッチが、作品雰囲気にぴったりと合っている。
ユウタが出会った少女サエコの手を取って走るシーンは、「かぐや姫の物語」でかぐやが疾走するあの印象的なシーンを彷彿させた。
先にも述べた蛍の群れのシーンは幻想的。
リアルな画、斬新な設定、過激な描写が多い昨今のアニメーションの中で、原点回帰のような画や温かさは心に残る。

都会っ子だったユウタが大自然に触れ、友達と無邪気に遊び、かけがえのない経験になっていく。
そんな時知ったサエコの秘密。
ユウタがこの時代に来た理由とは…?

子供たちはやがて大人になる。
しかし、あの時の経験と約束は決して忘れはしない。例え時を隔てても。
今を生きる子供たちと、子供の時の心がまだ何処かにある大人たちへの物語。

アニメ好きでありながら、こんな良質のアニメーションを見逃す所だった。
いつ見てもいいが、特に夏休みに見たい作品。
自然のカブトムシや蛍、最後に見たのはいつだった事だろう?

近大