「実験的作品」ブリスフリー・ユアーズ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
実験的作品
凄い!オープニング・タイトルが上映開始1時間のところで登場する(当時はまだ珍しかった)。一瞬、これで終わったのじゃないかと錯覚してしまった。
これだけでも初めて見る実験的映画。しかも前半はかなり緩い展開であり、ちょっとした人物紹介と、延々と目的地に向けて車を運転するだけなのです。そのクレジット・ロールがとりあえず終わった後は、森林浴を味わえるほど自然たっぷりのエロチックドラマ。
演じるのはミャンマーからの不法就労青年ミンと仲のよい若い女性ルーン。そこへ同じく彼に好意をよせている中年女性オーンが登場する。オーンは同じく森の中で不倫中、男が突如いなくなり、彼を探すうちに二人のラブラブ場面に遭遇するといったストーリー。登場人物は全て素人なのが驚きであり、ハードコア顔負けの演技だったのだ・・・しかも、青年ミンの性器がおもむろに大写しになって・・・
ミンはタイの言葉を読み書きできなく、周りから“バカと思われてる”などといった設定も、実はミャンマーから逃げてきたという事実。不倫カップルの男性が国境付近でミャンマー難民であるカレン族によって殺されたという両国における社会問題をも表現していたのだが、それを意識させないほど見入ってしまうシーンの連続だった。
とにかく長まわしカットが多く、登場人物の息吹までも感じ取れてしまう。ハエの羽音もうるさいくらいで、気持ち良さそうに寝転んでいるルーンの顔にも自然にハエがとまっていた。川で水浴びする女性二人のシーンと性器シーンのおかげで忘れられない映画になりそうだ・・・
【2005年11月金沢コミュニティ映画祭にて】
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