真昼の不思議な物体のレビュー・感想・評価
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フィクションを語らせるドキュメンタリー
なんとも奇妙なドキュメンタリーだ。虚実の境を突いていくタイプの作品だが、その虚はカメラを向けた対象が作り上げる。監督がカメラを向ける人に質問し、適当に話をでっち上げてもいいから何かを話をしてと語りかける。人々はそこで創作し、適当な話を作り、その再現パートが挟まれる。話の続きは、別の人間に作らせ、その物語は荒唐無稽な展開に。
普段、街頭インタビューなどをテレビでよく見かけるが、人々が事実を語っているという保証はない。それでもその情報は流通し、「事実」として定着してゆく。ここで人々が語る物語も「事実」として定着してゆくさまを、リアルなタッチの再現ドラマとして表現しているというのだろうか。
人に事実を語ってもらうことは案外難しい。信頼関係がなくてはならないし、それがあったとしても人の記憶は曖昧なものだ。しかし、創作というのも完全に未体験のフィクションを創造することは難しく、案外その個人の記憶や体験が強く反映されるものである。その意味では、人にフィクションを即興で作らせるという試みは、単なる事実を語ってもらうよりも、深い真実を見せることができるのかもしれない。
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アピチャッポン慣れ
してきたせいか、今回は睡魔も訪れず画面に集中できた。
物語を追うのではなく、そこで起きていることをたのしめるかどうかが攻略法か。
そう考えると画面には象にキックボクシングにケーンの演奏に、タイ大盤振る舞いといった感じで飽きさせない。
さらっと見過ごしてしまうこともできるが、小骨が引っかかったみたいにいつまでも脳裏に残るイメージが癖になる。
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