ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋のレビュー・感想・評価
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何がすべてを捨てさせたのか?
別にマドンナを馬鹿にしてる訳ではないけど、ほとんど期待せずに観たので、意外と手堅い出来で、マドンナは監督という仕事に対して真面目に取り組んでいるんだなとある意味感心した、ってやっぱり馬鹿にしてるのかな?
この邦題の責任も大きいんだけど、やっぱり観る人はエドワード八世とシンプソン夫人の「世紀の恋」の顛末をどうしても期待してる訳であって、そうするとちょっとあれっ?と感じてしまうかもしれない。
原題の『W.E.』には、ウォレスとエドワード、ウォリーとエフゲニーのふたつの意味があり、それは最初からこれはふたつのカップルの物語ですよ、ということなんだけど、この辺りの意図をこの邦題はまったく無視してしまっている。
だからどちらのカップルの物語も中途半端に見えてしまうところが惜しい。
個人的には、シンプソン夫人の一体何がエドワードにすべてを捨てさせたのか?というところを見たかったのだけど、それはわからずじまいだったかな。
確かに、シンプソン夫人を演じたアンドレア・ライズブローはご本人にもとても感じが似ていてファッションなどは素敵なんだけど、あまり魅力的には見えなかった。
これはあくまでも個人的な意見ですが。
エドワードを演じたジェームズ・ダーシー、エフゲニーを演じたオスカー・アイザックは素敵。
ピアノ弾いちゃうのは、反則!
2本を1本にしたようで残念
30年代の映像が美しい。とりわけウォリスのメイキャップ&衣装と、セット&小物の色彩のバランスが綺麗だ。アンドレア・ライズブロー演じるウォリスの品ある身のこなしも優雅で吸い寄せられる魅力がある。さしものプレイボーイ、エドワード太子も陥落して当然と納得する美しさだ。
これに対してストーリーだが、何のために現代の女性の目を通して“王冠をかけた恋”を描いたのか、その趣旨がどうにもしっくりこない。撮りたい映画が2本あったのを、仕方なく無理して1本にしたという印象がどうも尾を引く。
それとも「W./E.」のウォリスとウォリー、エドワードとエフゲニ、それに私達(We)を掛けたアイデアだけが先行してしまったのだろうか?
いずれにしても、30年代当時の禁断の恋だけをドキュメンタリータッチで描くことに専念してほしかった。
なぜなら、この作品を超えるウォリスとエドワードは考えられないからだ。ふたりのシーンは、オリヴィア・ハッセーとレナード・ホワイティングの「ロミオとジュリエット」に匹敵する誰も超えられない風格と美しさがある。しかも新鮮だ。だからこそ余計な仕込みは入れてほしくなかった。こういう手法は、誰も超えられない作品があって、それを超えたくて四苦八苦の挙げ句やるようなものだ。マドンナには斬新かつ小細工なしの王道を見せてほしかった。
それにしても、つくづく思う。いつの時代も、たった一人の女性が歴史を変えてしまう。
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