「2本を1本にしたようで残念」ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
2本を1本にしたようで残念
30年代の映像が美しい。とりわけウォリスのメイキャップ&衣装と、セット&小物の色彩のバランスが綺麗だ。アンドレア・ライズブロー演じるウォリスの品ある身のこなしも優雅で吸い寄せられる魅力がある。さしものプレイボーイ、エドワード太子も陥落して当然と納得する美しさだ。
これに対してストーリーだが、何のために現代の女性の目を通して“王冠をかけた恋”を描いたのか、その趣旨がどうにもしっくりこない。撮りたい映画が2本あったのを、仕方なく無理して1本にしたという印象がどうも尾を引く。
それとも「W./E.」のウォリスとウォリー、エドワードとエフゲニ、それに私達(We)を掛けたアイデアだけが先行してしまったのだろうか?
いずれにしても、30年代当時の禁断の恋だけをドキュメンタリータッチで描くことに専念してほしかった。
なぜなら、この作品を超えるウォリスとエドワードは考えられないからだ。ふたりのシーンは、オリヴィア・ハッセーとレナード・ホワイティングの「ロミオとジュリエット」に匹敵する誰も超えられない風格と美しさがある。しかも新鮮だ。だからこそ余計な仕込みは入れてほしくなかった。こういう手法は、誰も超えられない作品があって、それを超えたくて四苦八苦の挙げ句やるようなものだ。マドンナには斬新かつ小細工なしの王道を見せてほしかった。
それにしても、つくづく思う。いつの時代も、たった一人の女性が歴史を変えてしまう。
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