「あるはずのものがない恐ろしさ」ゼロ・グラビティ くりあさんの映画レビュー(感想・評価)
あるはずのものがない恐ろしさ
単なる衝突事故なのに、重力がないというだけでいかに過酷な状況に放り込まれるかが、圧倒的な表現力てスクリーンから圧力をかけてくる。
サンドラブロックとジョージクルーニーの実質二人だけで展開され、淡々と二人だけを追った脚本は、虚空での孤立を際立たせている。
浮遊感がこれでもかと表現されたどこからがCGかわからない映像もさることながら、音が効果的に使用されている。エアロックに空気が満たされ、徐々に作動音が聞こえてくる安心感。
3Dで見るべき。
襲いかかるデブリをよけ、空気が失われたら息を止めるのだ。
ストーリー上の御都合主義はあるが、そもそも最初の衝突時点で生存者がいることが御都合主義だからそこは飲み込め。
本作のテーマは明らかに「重力の存在感」であって、「無重力」ではない。邦題はどうなのと思わないでもない。
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