「「やっぱ、重力って、いいよね!」 古臭いパニック映画。」ゼロ・グラビティ bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
「やっぱ、重力って、いいよね!」 古臭いパニック映画。
最初から一時間ほどは、かなりの出来でした。CGも良かったし、3D映画でなくては味わえない臨場感も上出来でした。少なくとも「アバター」よりは数段、凄味がありました。サンドラ・ブロックが行方不明になったジョージ・クルーニーの幻影を見る場面もなかなか秀逸でした。これは、ひょっとすると、映画史に残る傑作になるかも・・・、などと期待しながら見続けましたが、最後の最後になって、なんとも恥ずかしい結末に・・・。無人の中国の宇宙ステーション「神舟」に乗ってサンドラ・ブロックが地球を目指すのですが、なんと、焼け死ぬことなく、無傷でサンドラ・ブロックは湖と思われるところに、無事、着水するのです。蛙が泳いでいたので、海ではなく、淡水の湖であると思われます。やはり、ヒロインは死なないのです。いや、死なせてはならないのです。これ、ハリウッドの古臭い不文律です。泳いで、岸まで泳ぎ着いたサンドラ・ブロックは決然と岸辺に立ちつくします。なにやら、全身から不敵な自信が漂っています。そして、一瞬の暗転の後、「gravity」の文字が現れます。まさか、とは思いましたが、映画はこれで終わります。本当に終りなのです。「やっぱ、地球って、いいよね。やっぱ、重力っていいよね」。私には、監督のこのような無邪気な囁きが聞こえてきました。大いなる地球賛歌、大いなる重力賛歌。私は大きな脱力感に襲われました。作りようによっては「2001年、宇宙の旅」のようなSF映画にも、「ポセイドン・アドベンチャー」のような感動的なパニック映画にもなったのに、なんとも残念な結果となりました。
宇宙空間の怖さをまざまざと見せてくれたことに対して☆二つ半としました。