劇場公開日 2013年12月13日

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「クリアーな映像、リアリティを欠いたストーリー」ゼロ・グラビティ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0クリアーな映像、リアリティを欠いたストーリー

2021年2月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波

素晴らしい映像美の作品だ。
宇宙は大気が無いので、
大気圏外はきっとこの作品のように
クリアーな世界なのではないかと思った。

このクリアーな宇宙空間シーンを見せる
のが、この映画のひとつのテーマ
なのだと納得する感動的な映像だ。

一方でそんな世界だからこそ、
人間にとっては怖い場所ともなり得る訳で、
そこからの脱出劇がこの映画の
もう一つのテーマだろう。

いかに観客がハラハラドキドキ出来るかに
その成否がかかっているかは理解出来るが、
ただ、そこにはある程度のリアリティが
必要だ。

観客動員を意識し過ぎたか。
次々と襲いかかるトラブルが多過ぎ、
特に、ソユーズ乗船以降、
中国の宇宙ステーションに到着から、
更に地球帰還のラストシーンまでが
御都合主義的解決ストーリーになって
しまったのは残念だった。

ここは興行意識を少し外し、
トラブル回数を減らし、
その解決策を丹念に描くことで、
より名画に近づいたのでは無かったかと
考える。

また何故か、最近観たある戦争映画
が頭に浮かんだ。

ラストでヒロインが水中でカプセルから
脱出出来ず“溺死する”のが、
映画「U・ボート」の世界だな、と。

その道の専門家が、
その専門知識を駆使して
専門世界のトラブルと散々格闘して
生還出来た挙げ句、
最後の最後に
専門外要素で命を奪われる皮肉。

そんな描き方をしなくとも良い設定の映画
で良かったなと、
つまらないことが頭を過った。

KENZO一級建築士事務所