「マジで終わらせた…」シン・エヴァンゲリオン劇場版 Flagmanさんの映画レビュー(感想・評価)
マジで終わらせた…
これが終わった直後の素直な感想。
それは段々と喪失感に変わり自分の中で2度目のエヴァの終わりがズンと押し寄せてきました。
あれだけ『本当に終わるのかよ?w』『結局また続くでしょ』なんて言っていたのにも関わらずに。
Qから数年の間ネット上には色々な考察や憶測が広がり、ファンの中には僕も含め色々な人が自分の中の理想のシンエヴァ像を作り上げてたのじゃないかと思う。
結果、自分が観たかったエヴァではなかったが素直に面白かった。素晴らしかった。
庵野監督自身の投影とも取れる内容で庵野監督がエヴァンゲリオンと言う作品とガチガチに向き合った渾身の1作だと感じた。
本編冒頭のパリのシーンは既に公開されていましたが、エヴァに関しては本当に本編に入ってるかも怪しい所でしたが公式通りの始まり。
そして歩く3人のパイロット。
シンエヴァはQではなく旧の続きになるかもしれないなんて考察されてた方が居ましたがガチガチにQの続編です。
本当に安心した。
Qで撒いた謎や伏線の回収はやって貰わないと観てるこっちは堪りませんからね笑
意外だったのはここから。
殺伐としたQとは少し雰囲気が違い、第三村の生活を割と長い時間を使い描かれてます。
お馴染みのトウジやケンスケ、ヒカリなど28歳になったメンバーはそれぞれの幸せを見つけ暮らしています。
『そっくりさん』と言われる綾波の初期ロットの感情を学ぶ一連の流れや、鬱モードだったシンジの立ち直りをちゃんと描いてくれており和やかな雰囲気。
Qを観た後の人間からすればある程度いろんな意味で覚悟して観てると思うので拍子抜けしたと言うか、観ていて安心した。
ただ、ネット上でも一部ファンが怒っている部分『アスカとケンスケの関係』もここでぶっ込んで来ました。
正直あの状態のシンジに裸のアスカが隠す素振りもせずケンスケと話をする様子を見せるのはまさに地獄。まさかとは思ったが内心『マジか…』と、、
結構な叩かれ方をしていますが僕個人としてはこれまでアニメシリーズからアスカは報われておらず悲惨な運命ばっかりで、流石に観ているこっちも滅入ります。
相手がケンスケだろうとアスカ個人の幸せが叶うのであればそれで良いんじゃないでしょうか?
ヴンダーによる回収からは話が一変。
対ネルフに話はシフト、一気にラストに向け突っ走ります。
今作は前作Qと違い庵野らしからぬ説明及び回収して行くのが『ああ、マジで終わらせるつもりだな』と。
個人的にミサトさんとの和解がグッと来た部分でもあります。
帽子とグラサンを取り髪を下ろしたあの姿には胸が熱くなりました。
終盤一気にバトルパートがQのCGバトルを彷彿とさせ何が起きているか分かりづらい辛いパートが少しあります。
ここでぶっ込んで来た、アスカの使徒化。
驚いたのはアスカが『式波シリーズ』と呼ばれるクローンだった事。たまげました。
『ゲンドウの狙いは使徒化したアスカ』
出ました『ゼーレのシナリオ通り』発動。
冬月は溶け、ゲンドウは人間を辞め最終決戦へ。オリジナルを思わせるようなシンジの精神世界の描写。例の電車!
子供の頃嫌いだったシーンです。
ここで碇ゲンドウがよく喋る。
何故か痛い程気持ちが分かってしまい少しうるっと来た。
ユイに会いたい。只それだけの為に他人を犠牲にし世界を犠牲にする。
誰よりも人間臭かったのはゲンドウ。
13号機と初号機のバトルは正直意味を持たず少しガッカリ。ここを予告に使うのはズルい気もした。
終盤はメンタル覚醒したシンジによる主要キャラの魂の救済。良い演出だった。
浜辺のアスカに違和感を抱いたがアレは旧劇のアスカなのか両方なのか。
アニメシリーズや旧劇の画像を差し込んでくる辺りやはりシンジは全記憶を見たのか。
変にループしたり前後したりしなくて良かった。
最後は新劇最大の謎人物『マリ』
ユダでありマグダラのマリア。
やはりゲンドウの同期でした。
が、何よりもこのシンエヴァでは大活躍。
マリのシーンはかなり多かったと思います。破で2号機に乗った時点でマリはアスカの替わりになるキャラかも知れないと思ってたが、やっぱりそうなのかな?
とにかく8号機共に大活躍です。1番エヴァやってた。
正直ポッと出の陽キャが主人公とくっ付けばそりゃ批判もくるでしょうね。まともに接点も無いままでしたし。
ただ個人的にマリの様なタイプは好きなので僕の中ではアリです。
乳のでかい陽気なオネェさんなんて羨ましい。
正直言って期待はしていませんでした。
が、庵野監督はちゃんとエンタメを意識した上でアンサーを出し終わらせてくれた。
少なくとも僕はそう受けました。
個人的には最高とまでは言いませんが一つの形の終わりを劇場で観れたことに感謝です。
文句言ったり叩いたりもするけど、それも含めエヴァらしいと言うか。
結局エヴァが好きなんだなと自覚しました。
あと、宇多田ヒカルは素晴らしい。
もう一度観に行きます。