「終劇」シン・エヴァンゲリオン劇場版 窓牛さんの映画レビュー(感想・評価)
終劇
四半世紀に亘ったEVAの世界が、今回で本当に終劇となった。
賛否が出なければEVAでは無いので、今回も当然賛否は喧しいでしょう。
しかし、「EVAは庵野監督の私小説である」という意見に賛成なので、
この終わらせ方については、監督の意向を完全に受け入れたいと思い
肯定的にとらえています。
少なくともこんなにも長い間、気になり続けた作品は他にはない。
率直に感謝と称賛をささげます。さらばすべてのエヴァンゲリオン。
ここからネタバレ含みます。
採点はもちろん盲目的に5点でも良かったのですが、EVAを完全履修
していないと100%楽しめないので、マイナス0.5してしまいました。
TV版、旧劇場版、新劇場版、貞本EVA(公式のコミック版)これら
すべてを知らないと、理解できないシーンが多いと思います。
そしてこの決着は、貞本版EVAが一番近い感覚なのかな。
コミックはまだ見ていないという人がいたら、一読をお勧めします。
肝心の映画の中身ですが、長丁場も苦しくならない見事な出来でした。
映像、音楽、声優、すべてが最上質なものだったので満足。
序盤はサービス過剰なぐらい同窓会感が出ていて、観ていてとても
楽しかった。(トウジ、ヒカリ、ケンケン、ペンペン、加地クン)
中盤の怒涛の展開と迫力ある画づくりには圧倒されました。
そして終盤、庵野監督のオトシマエのつけ方に完全にやられました。
これほどのカオスに満ちた物語のラストメッセージの、なんと凡庸な
ことか。けれど四半世紀の苦悩の結論が凡庸であったことは、自分に
とってはかえって納得感がありました。
サブタイトルのTHRICE UPON A TIMEは3回目の世界? という意味ですかね。
もしかして世界がループしているのではなく、書き換えられているという
ことなのかと考えさせられる終盤でした。
観終わった後、元々のタイトルである新世紀(ネオンジェネシス)という
題名そのものを伏線回収するという大団円であったのだと好意的に解釈し、
納得して帰途しました。これで終劇なのですね。
長い永い青春が終わった感じがします。
ただ、「さようならは、またねのおまじない」と言ってたから、本当に
終劇なのかは、神(庵野)のみぞ知るって感じかな。笑
PS.個人的には、挿入歌にVOYAGERが使われたことが嬉しかった。
そしてイスカリオテのマリアには驚愕した 笑