ブレイクアウトのレビュー・感想・評価
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大好きな密室劇
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ニコラスの豪邸に強盗団が侵入、金庫を開けるよう言われる。
しかし開けたら殺されるからと、ニコラスは意地でも開けない。
また途中で娘も帰宅して人質になったり、複雑に絡み合う。
そんな中で犯人の一人はニコラス嫁のニコールの「不倫相手」と分かる。
で幾多の駆け引きの結果、金庫をあけることになるが空だった。
ニコラス曰く、実は債務だらけで破綻直前だったとのこと。
やがて「不倫相手」が実はそうじゃなくて、頭のおかしい奴だと判明。
勝手にニコールに愛されてると思い込む、精神病みたいな奴だった。
男は、ニコールに手を出されそうになったことに怒り仲間を殺す。
足をやられたニコラスは死ぬことで保険金をニコールに残そうと火をかける。
結局ニコールがニコラスを救い、頭のおかしい奴は焼け死んでハッピーエンド。
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登場人物も場面も限られる密室劇がおれは大好き。
だからそれだけで楽しかったわ。状況を整理しやすい。
しかしいつも思うけどニコールってホンマに美人やなあ。
見ることの不確かさ
冒頭、カイルが仕事部屋にサラを入れようとしないシーンにおいて、サラの姿はすりガラスの向こうでぼやけており、まるでモザイクのようになっている。
続いて、強盗が押し入るシーン。インターホンのモニターには警備会社のバッジが見え、カイルはそれを見たばかりに、顔も見えない人物を信用して家に入れてしまっている。
そして、サラに惚れている男がカイルを監視している時、男はカイルの持つ大量の金を見て「金庫の中」に金が入っていると勘違いしてしまっている。
カイルはその男とサラが浮気していると思い込み、サラが強盗とグルではないかと思っているが、そう勘違いしたのは、監視カメラが撮影した写真という、部分だけを抜き出した不確かな物を見てしまったからだ。
そして、何とか男を説得しようと、男に密着して話しているサラの姿をすりガラス越しに見たカイルは、その不確かなシルエットだけで、サラと男がデキていると、妻に対してより大きな不信感を抱いてしまっている。
仕事部屋のドアが「すりガラス」なのは、見ることの不確かさにより夫が妻へ抱く不信感を、サラの姿をぼかすことで視覚的に表すためだ。
何より、メガネを失くしたカイルがぼやけた視界で必死にサラの姿を探すシーンで、見ることの不確かさ、困難さを描いた映画だというのはすぐに解る。
そうでなければこんな、横山やすしのギャグみたいなシーンをわざわざ入れるはずがない。
物語的に考えると「嘘」が主体のように見えるが、間違いなく監督は上記の「見ることの不確かさ」をテーマに撮っている。
そして、この映画は誰も家から出ない。出られない。
普通なら、あれだけのミスをしたのだからさっさと家主を殺して次の金持ちそうなターゲットを探せばいいものの、強盗達は様々な理由で、この家に「閉じ込められて」いる。
パーティーの金持ちから金を取り上げようと、エイヴリーと女が車で出て行くシークエンスにしても、女は愛する男のために、家にまた「戻らざるを得ない」ようにしており、娘に関しても助けを呼んだり、逃げたりなどせず、さも当然というように「家」へ戻っている。
ちなみに、エイヴリーの顔が決して美人だと言えないのも、エイヴリーがモテるという話で強盗の女を怒らせて、道路ではなくエイヴリーに注意を向かせ反撃するという、このシーンを撮るためだろう。
そうでなければ、もっと綺麗な女優を使うはずだ。
なにしろ母親役がニコール・キッドマンなのだから。
この映画は、徹頭追尾そうした思考回路で撮られている。
舞台にしても、この豪邸が存在している限り、登場人物たちは家から出て「自由」を手にすることが出来ない。
だからこそ最後、カイル達が自由になるために、この豪邸は燃えるしかない。
そういうふうに撮られているのだ。
話は変わるが、この映画はよく地面が出てくる。
座るため、倒れるため、這いつくばるために。
まるで地面(床)を主体として撮られているかのようだ。
わざわざガラスを割ったのも、床にガラスを敷き詰め、その上でアクションをさせるためだろう。
特にカイルの地面接着率といったら半端じゃない。
脅迫され、殴られ、テーブルに寝かされ、何度カイルは体を「横」にされただろう。
椅子に縛り付けていたって、仕事部屋にソファか何かを設置して、そこにずっと座らせていたっていいのだ。
椅子に座らせるのもしばらく後になってからであるし、そのシークエンスも長くはない。
ある程度カイル達が自由なのは、カイルに「背中を上にして」横たわらせるためだ。
この映画における、自分の胸を下にした「うつ伏せ」の体勢とは、「自分の身を自分で守っている」という隠喩に他ならない。
逆に言うと、うつ伏せになっていれば殺されないという事だ。
なぜ強盗のつく嘘をわざわざ胃や肝臓ではなく「腎臓の移植」にしたのか。
それは、カイルをテーブルの上で「うつ伏せ」にさせるためである。
なぜうつ伏せなのか。それは「映画の途中で主人公を死なせない」ためである。
あのシーンが「胃の移植」で、仰向けだったとしたら、主人公はあそこで腹を切り裂かれていただろう。
ちなみに、最初にうつ伏せになるシーンでは、咄嗟に妻の手をギュッと握る。
カイルは「家族」を求めている。
だが、その繋いだ手は、強盗によりすぐに引き離されてしまう。
このシーンがあるのも、家から解放され、これまではほとんどうつ伏せになったりうずくまるしかなかったカイルを「仰向け」に寝かせて休ませ、その体の上に「妻と子を揃って」横たわらせるラストのためである。
その直前のシーンのガレージでも仰向けになっているのは、妻が寄り添い、自分の体が「守られて」いるからだ。
家族を命懸けで守った男は、家族に自分の胸を守られながら、ようやく仰向けで休むことを許される。
カイルがこの後、死ぬことは無いだろう。
彼は家族に「守られて」いるから。
そして、映画は唐突に終わる。
以上の僕の考察が合ってるかは分かりませんが、少なくとも僕は駄作だとは思いません。
夕焼けや、車の窓に反射する木々の影など、とても良く撮られていると思いますし、俳優達もきちんと、特にニコール・キッドマンはとても美しく撮られていると思います。
なぜ、ハリウッド映画で描かれる「強盗」はミスをしてはいけないと思われているのでしょうか。
映画に強盗=プロというルールがあるとでも言うのでしょうか。「悪い人」は極悪非道じゃないといけないとでも言うのでしょうか。
なぜ「サスペンス」というジャンルに縛られると、あっと驚く展開という「物語」のみで映画が評価され、画面に映る「人間」は見られないのでしょうか。
それは、これまで自分が観た「ハリウッドのサスペンス映画、ミステリー映画」との紐付けでしかないと、僕は思います。
この作品を「映画」として評価しているとは思えませんし、ただただ、観る側の先入観により、この作品が不評になっているようにしか思えません。
もちろん、大傑作などということは無いですが、僕は断然支持します。
まんまと騙されました
予告編で「何故金庫を開けない」「何故女をかばう」といった部分が気になってワクワクしながらレンタル。騙される映画が大好きということもあり、途中ニコラスが小出しに暴露していく内容は犯人を騙すための内容だろうなと、どんな展開がおるんだろうなと最後まで期待していたのですが…まさかの騙し要素ゼロで拍子抜けでした。予告編で期待させすぎですね。
普通だった
金持ち一家に強盗が押し込む非常にミニマムな話で破綻もない代わりに、特に驚くような展開もなかった。リアルに描こうと言う姿勢は好みなのだが、強盗の弟がキチガイだったり、兄の彼女がヤク中とかの割にさっぱりキャラが立ってない印象だった。
そつなくまとめようとしたら、華もなにもない話になってしまった感じかな。
期待した分、大ハズレ…
金持ち宅の金庫目当てに強盗に入ったはいいが、実は借金だらけで金庫は空だった—。
そんな大邸宅に住むカイル(ニコラス・ケイジ)&サラ(ニコール・キッドマン)夫婦と娘のエイブリー。
突然、4人組の覆面強盗が入り…ここまでの展開は良かった
強盗ちたは無計画だったので、金庫が空だと知ると逆上し仲間割れしだすは個人個人で暴走しすぎ。
金庫が空ならさっさと引き揚げればいいのに、ずっと居座って金目のものはないかカイルに追求しだすし。
終始ぐだぐだで、途中の強盗たちとの絡みにはうんざり…
ニコラス・ケイジ×ニコール・キッドマンのW主演だから、かなり期待してたけど…新作料金を出してまで借りたのに損した気分。。。
ちなみに、ラストは家族3人だけ助かります。
仕掛けたハズの地雷がほとんど作動しないトラップサスペンス
旦那がニコラス・ケイジで、奥さんがニコール・キッドマンというハリウッド屈指の曲者同士の夫婦噺やから、騙し討ちギッシリの展開を期待して出掛けたが、終始スッカスカで拍子抜けしてしまった。
居酒屋でカニ茹でて貰ったら、見映えは鮮やかな真っ赤で綺麗やけど、殻割ったら中身があらへん…って感じかな。
ハサミ持ったはええけど、ほじくり甲斐無いなぁ〜って…。
致命傷は、大々的にバラまいたハズのトラップが一切作動してなかった点に尽きるだろう。
旦那が必死に金庫の中の宝石を見せようとしない時点で中身が空やとすぐバレるし、一味に1枚噛んでるらしい奥さんも実は若いチンピラと昔ちょっと誘惑されたってぐらい。
互いの地雷が地雷の役割を果たしておらいない。
それでも爆発するぞ、爆発するぞ〜って煽るため、そのまま見守っていたら、単に強盗団が全然、計画練っていなかったねっ♪でオシマイ。
不発弾どころかホントに地雷埋めたの?!罠ってドコ!?って花火師のジョエル・シュマッカーに小一時間問い質したい。
爆発被害は生意気な娘がネズミ花火に追い掛け回されたぐらいがせいぜいではないか。
第一、夫婦の技が繰り出される前に、強盗団の輩が勝手に仲間割れして、勝手に自滅しているから、点火する暇なぞありゃしないのだ。
爆発したくとも、物語の導火線がとっくに湿気てる。
まあ、舞台が一軒家の中やから弾けるぐらいの規模でちょうど良いかもしれない。
しかし、トラップサスペンスにおいて、これほど哀しい線香花火は無いのである。
むしろ、クラッカーやったねっと、花火に水を差したところで短歌を一首
『腹探る 芝居の値打ち 壁一つ 未だ観ぬ宝 嘘を砕いて』
by全竜
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