王様とボクのレビュー・感想・評価
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日本の映画史に残した汚点
原作がコミックだから娯楽映画だと思って見ていたが、何が言いたいのか内容もなくダラダラと続くが娯楽映画だったら結末は期待できるだろうと思ったが締まりのないエンド。
だからといって、純文学のように芸術性を追求した映画でもなく、記憶に残る名場面もなければ、登場人物の心情も語られているわけでもない。
テレビ・ドラマ的なものを、わざわざカネを掛けてよく映画化したものだ。
時間とカネを費やして映画館に見に来る人の気持ちを考えて作ってほしいものである、なんたって日本の映画チケット代は世界一高いんだから。
WOWOWで、何回も何回もやってるけど、もういい加減にしてもらいたい。
大人になるって何なのか
ラストがあまりにも曖昧過ぎて思いっきりモヤモヤ感の残る映画ではありましたが、よくよく考えれば、大人になるって案外こんなものなのかもしれないですね。
どこで大人になったかなんて、今となっては全く覚えていないぐらいどうでもいいことだった気もするのですが、子供から大人になる狭間の時期は無駄に思い悩んだりしてしまうもので・・・。
結局、知識や生きる術こそ備わったものの、心の中は大して変わっていなかったりするのが現実だったりしますよね。
大人になんかなりたくないと思っても、いつの間にか勝手に大人に向かって歩き出しているのが、大人になるってことなのかも・・・。
子供以上大人未満の4人の登場人物を見ていたら、ふとその頃の自分を思い出してしまいました。
菅田将暉(モリオ)・・・心は事故当時の6歳のままで体は18歳な青年を見事に演じ切りました。
子供から大人になる過程が全くないって、一体どんな感じなのだろうかと、思わず考えさせられてしまうようなキャラでしたね。
ただ、主人公では無かったような・・・。
松坂桃李(ミキヒコ)・・・実質の主人公はこっちですね。
過去にとらわれて生きている姿はちょっともどかしかったですが、子供の頃に事故を目の当たりにしたともなれば、過去にとらわれてしまうのもまあ無理はないのかな。
大人と子供の狭間で揺れ動く様々な感情を見事に表現していましたね。
相葉裕樹(トモナリ)・・・相葉と言うよりは大野似な相葉裕樹。
何だこの引きこもりニートはと最初は物凄くイラっとしましたが、終わってみれば一番苦しんでいたのは彼だったのかなと、妙に気になって仕方がないキャラでした。
足は結局どうしたのかな?
二階堂ふみ(キエ)・・・ザ・二階堂ふみとも言えるようなお得意のウザキャラを好演。
大人になんかなりたくないとハイテンション振る舞いつつも、向いてる方向は戸惑いながらもしっかり未来へと向かっているような、何とも掴みどころのないキャラを難なくこなしてしまう辺りはさすが二階堂ふみでしたね。
松田美由紀(トモナリの母)・・・さすがの存在感でした。
そして、何でも相談できそうな安心感もありましたね。
でも、息子のトモナリとは過去に何があったのでしょうか・・・気になる。
モリオと友人になった3人の小学生・・・思いのほかいい味出してましたね。
映画的な美少年じゃなく、極々普通の子供達だったのも物凄く好感が持てました。
やんちゃだけど、ちゃんと子供がしなければいけないことは分かっている辺りは、まさに今時の子供って感じでしたね。
12年の昏睡状態から目覚めたモリオ、そしてミキヒコ、トモナリ、キエの4人は、一体どんな大人になったのでしょうか・・・。
モリオ役の菅田将暉の演技が素晴らしい。本当に6歳の少年に見えてくる。
冒頭にミキヒコとキエのラブストーリーが展開するのかと想わせておいて、ストーリーは意外な方へ、拡がっていきました。ミキヒコがずっとずっとこころの中で12年間も思い続けていたこと。それは親友のモリオが目の前でブランコから飛び出してしまい、植物人間となってしまったことです。
そのモリオが、奇跡的に回復して、ミキヒコと再開するのです。けれどもモリオの意識は6歳の少年のまま。外見は18歳の青年なのにこころは6歳のままのという人物がどんな振る舞いをするのかか本作の見せ場でした。そしてモリオと関わる周りの人物の対応。特に12年間も思い続けてきたミキヒコの、彼のためなら愛するキエを捨てでもなんでもやってあげたいというピュアな気持ちには感動させられます。
その核心となるモリオ役の菅田将暉の演技が素晴らしいのです。『仮面ライダーにしておくのはもたっいない!本当に6歳の少年に見えてくるので、まるで映画の魔法にかかった心境になります。そのリアルな純真さは、単に演技で出せるものでなく、菅田自身が持っているナイーブな感性の賜物でしょう。またモリオに絡むミキヒコの優しさもとてもいいのです。演じている松坂桃李は、大ヒットしている『ツナグ』でも主演し、依頼者やクラスメートの心の痛みを分かち合う演技で、好評を博しています。本作でもそんな松坂の人間味ある慈愛が、滲み出ているかのような魅力あるミキヒコを作り上げていたのでした。モリオのことを思い出すだけでも泣けてくるというのは、難しい演技だったでしょうね。
そんな難しい設定の人間群像を生み出す点では、前田哲監督は天才的な閃きを発揮したと思います。「ブタがいた教室」で子供たちの生き生きした表情がとても素晴らしく思えて、すっかりファンになりました。本作でも、そんな前田監督の演出力が発揮されていると思います。特に、モリオ3人の小学生達との交流シーンは、不思議に心が温まりました。子供を描かせたら鉄板の監督なんですね。余談ですが、モリオは自分の精神年齢が近い、3人の小学生には、友だちになろうと自らアプローチしていきます。けれども大の親友だったミキヒコには、親友だったということは分かっていても、大人になったミキヒコには近づきがたい恐怖心を忍ばせ、拒絶しがちなのは、ミキヒコにとって辛いところだったでしょう。
ラストは、ミキヒコが強引にモリオとの共同生活に向けて独走し始めます。そのためキエを置いてまで、何処か遠くの土地の暮らそうと思い始めるのです。そして、全く会いに来ず施設に預けたままにしている、ミキヒコの母親に合わせようとも。九州に住んでいる母親の元へ、バイクにモリオを乗せて向かうところで終わります。
気になるのは、ラストが伏線の未消化で終わってしまうのです。これはほぼ同時期に公開されている『旅の贈りもの 明日へ』も同様でした。両作とも途中までのアイディアは素晴らしいのですが、どうドラマを締めていくか、その終わり方がまとまっておらず、いきなり終わってしまうところがとても残念です。
なぜモリオの母親は会いに来ないのか。なぜモリオのことを忘れて欲しい、もう会わないでくれと母親はミキヒコに手紙を送ったのか。そして九州まで無事に到着して再開できたのか。ミキヒコとキエの関係はどうなったのか。さらに、もうひとりの親友トモナリはなぜモリオとの再会を望まなかったのかなど、伏線が未消化のままに終わってしまいました。
ところで本作でモリオの演技以上に存在感を見せつけられるのが、キエ役の二階堂ふみ。『シミズ』でも魅せてくれた豊かな感情表現そのままに、本作でも多感な女子高生を演じました。普段はキャピキャピに暴れ回るのに、突然ナイーブな表情に変わったり、ミキヒコの悲しみや悩みを真剣に受け止めようとする多感な感情表現は、彼女が一番だと思います。『シミズ』と比べて明るいキャラでかわいかったですね。
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