「大人になることへの抵抗の文学的表現?」王様とボク 落ち穂さんの映画レビュー(感想・評価)
大人になることへの抵抗の文学的表現?
正直、つまらなかったです。
6歳がいきなり18歳である自分と向かい合わなくてはならなくなったという重い現実感ゼロ。
体力的な面では、なぜ歩けてるの?6歳なんて飛び回れる年頃が12年間寝たきりで歩けなくなっていたという現実に愕然とするとかないの?
心理的な面では、眠っていただけで知的障害があるわけではないはずなのに、振る舞いが3~4歳児レベルなのはなぜ?6歳児ってもっと賢いよ?
それと、小学校中学年なんてお兄ちゃんたちを6歳児の感覚で遊び相手に選ぶなんてありえる?
不可思議な点は、まだまだあります。
入院費用を負担していた親は、顔も見ずに息子を知的障害専門養護施設に入れたの?また、専門施設に預けているにもかかわらず、セキュリティなしの出入り自由???徘徊して事故にあったらどうするの?現にラストシーン、そうなっちゃってるし。
幼い精神ながらも大人にならなくてはという決意や覚悟を感じさせるシーンは全くなかった上で、裸足で道路の真ん中を光の方へ行く後ろ姿をみせられると、あれは現実に耐えられなくなって車に跳ねられに行ったという風にしか見えないです。そのラストのペタペタとした足取り部分を、かなりしっかり映していたのが気味悪かったし、途中途中、主題とは関係ないシーンがネチっこく、さも感動的シーンのように流れるのも不快でした。
映画的には「不幸な境遇のモリオという青年の幼なじみが、中途半端なピーターパン症候群でした」というだけの話を1時間半もかけてやりたかったということのかな???
二海堂ふみの役も特に具体性をもっては必要ないし、原作がどんな内容かは知らないですが、後味は悪いわ、誰にも感情移入できないわ、つまらないこと、この上なかったです。残念。