「細田ファン以外はDVDとかでいいいかも…」おおかみこどもの雨と雪 X32さんの映画レビュー(感想・評価)
細田ファン以外はDVDとかでいいいかも…
多くの方がおっしゃっているように
「映像と声優陣の演技」は素晴らしかったと思います。
ストーリーは有り体で退屈なんだけど、
子供たちのシーンはかわいくて、いいなぁと思いました。
気になったのは、おとぎ話というわりには、リアリティをざっくりと
織り込んでいるので、作品の世界観がぶれているように感じした。
そのせいでしょうか、いまひとつこの作品に入り込めませんでした。
たとえば、清掃車に狼の死骸を入れるシーンがありますよね?
あんな都会で狼が死んでたら、一騒ぎになると思うんですが…
この作品のテーマは母親像だったり、子育て、親離れだと思います。
しかし、現実の母親ってもっと苦悩して子育てしてませんか?
あんなに問題の多い子供たちを、1人で苦労を背負い込んで、
お金もなくて、相談相手もいない。
これってシングルマザーの方が追い詰められている
要因ではないでしょうか?
でもこの作品の「はな」は子供たちにキレることはありません。
ひたすら笑顔でがんばって子育てをします。
どなたかもレビューで書かれていましたが、
この描き方が男性としての理想の母親像に
偏ってると感じました。
おとぎ話だから、母親が精神的にまいっていく部分って
描かなくてもよかったのでしょうか。
自分は深みが感じられませんでした。
心には残らないPVのような作品でしたが、
映像がかわいかったので、我慢できました。
僕は細田ファンではありませんが理解できましたよ。
こんなファンタジーをリアルに、自然に描写することでよりその世界に浸れるようになる。とは思えませんか?どうやらファンタジーを理解するつもりで観る人と、半信半疑で観てそのまま終わる人がいるようですね。
『しかし、現実の母親ってもっと苦悩して子育てしてませんか?』って、何であなたが決めるのですか?どれだけ苦労に苦労を重ねてお涙ちょうだいの映画にしたくはなかったのではないでしょうか?
細田監督は宮崎あおいさんに、『母親にはならないでください。一人の人間として相対してください。』と注文したそうです。『二人を見ているとどうしても母親になってしまう。まずはそこを削ることから始めました。』と宮崎あおいさんが言っていました。
感動的な母親の子育ての話?何か小さいところでの決め付けだけで観ていませんか?
あなたがもっと深く描写すべきだ。と思われたところはただ単に、『そこの描写は汲み取ってもらう部分だからあえて描写しない。』または、『要らないから描写しない。』という監督の意図によるものではないでしょうか?
『心には残らないPVのような作品でしたが』理解できなければ心には残りませんよね。わかります。
男性の母親の理想像といわれて、なるほどなあと思いました。
でも、女性の私から見ても、やっぱり花のように子供たちに笑顔で接してあげたいと勇気付けられましたよ。
実際、私も二人育ててますので花の境遇はずしんときます。
「どうだ!母親って強いんだよ!見たか男共!」
って誇らしくも思いましたよ。
未婚の男性なのであまり深いことは言えませんが何点か気になるので。
①オオカミが清掃車に入れられるシーンについて
→オオカミとシベリアンハスキーみたいな犬って誰でもが簡単に区別できましたっけ?知識なかったら犬として処理されても不思議じゃないですよね。
②母親が精神的にまいっていく部分って描かなくてもよかったのでしょうか。
→まいっていくまでの要因は何なのでしょうか?たしかに、あのまま都会暮らしをしていたら確実に精神的に参ってしまうでしょう。
しかし、参ってしまう前に都会から田舎に映ったわけです。お金の問題は畑をするなかで徐々に解決しましたし、相談相手も同世代のお母さん方と話していて幾分かは解決しています。
おそらくですが、このようなキャラクターの場合無理しすぎると子供にキレる前に倒れてしまうほうが自然な気がします。そうなる前に物事がうまくまわったととらえられたのですが。