「おおかみこどものお話」おおかみこどもの雨と雪 Laughing manさんの映画レビュー(感想・評価)
おおかみこどものお話
私が最も危惧していた「おおかみこどもに対する差別、偏見」がほとんど描かれていなかったのは良かったです。
陰惨な空気をほとんど感じず、気持ちよく観ることができました。
どう解釈しても納得いかない点はありましたが、その他の点はとてもよかったです。
納得いかない点↓
・ランドセルがまだ残っているのに生徒を探さない教師
こればっかりは納得いきません。
普通探すでしょ?と。それともよっぽど教師がダメな学校なんでしょうか。
あそこは最低限、教師が雪と草平を探す描写があるべきだと思います。
今作は印象に残る風景が多く、自然に涙がこぼれました。広大な山脈、入道雲、水田、朝日、田舎に暮らしている私でも見たことのない景色ですが、とにかく印象深いです。
あと、時間の経過の表し方が個人的に好きです。
よく観ていないと、序盤で「おまえらもうそんな関係になるのかよ!」と思ってしまうでしょう。(出会ったのは初夏だが、デートの際はクリスマスまで進んでいます。)。雪がいつの間にか草平をそうちゃんと呼ぶようになっていたのは思わず和みました。
こども達が、成長するにつれて人生を選択していくようになったのは切なくなってしまいました。
雨と雪の力関係が逆転してしまったあたりはとても心苦しかったです。
雨を探しに行くシーンで賛否両論になっているようですが、私は全く問題ないと思います。というのも、雨を探しに行くか、雪を迎えに行くか、分かれ道で花が迷うシーンがあるからです。私にとってはあれ以上のためらいの表現は無駄です。くどい!としか感じません。
雪は雪で「早く大人になりたい」と言っていたので、花が迎えにこないのは何か事情があってのことなんだろう、と割り切れる精神年齢になっているはずです(草平に自分の正体を明かしたことがなによりの証拠)。
個人的には、語り部となっている雪が再度出てこないまま終わってしまったので若干置いてけぼり気味になりました。もう少し余韻が欲しかったかな。
まとまりのないレビューですが、おススメできる映画であることは確かです。