劇場公開日 2012年1月7日

「原作とは別作品として考える」白夜行 白い闇の中を歩く CRAFT BOXさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0原作とは別作品として考える

2014年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

東野圭吾の同名原作を、ドラマ版、邦画版と見てきて、それぞれ割りと好きな作品だが、本作はその韓国版。しかし、原作の設定は借りてきているものの、ここまで脚色が大きければむしろ別作品として考える方がスマートだと思う。

原作の主人公2人は、けっして交わる事が無い。だからこそ、交わらない彼らの協力し合う行動が謎になり、そのミステリーの根幹に少年・少女時代の不幸な出来事が重なり、主人公たちの悲しい関係性に切なさを与える。
韓国版では、学生時代などのばっさりと切り捨てているので、彼らが成長していく過程で、互いをどれほど必要と仕合っていたのか、その関係性が薄い。だから、ヨハンがミホを徹底して庇うという関係性が、何か一方的に見える。これでは原作の持つ切なさが今一つ伝えきれない。そのため、単なる同情による愛情関係に見えてしまうのだ。
これでは、ラストシーンでミホがヨハンを切り捨てる部分も深みが無い。原作の亮司と雪穂は、もっと深い独特な愛情関係にある。
原作の良さを活かしきれているとは言えない凡作だ。

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CRAFT BOX