「リーマンショック時の巨大投資銀行を描き、とても興味深い映画ではあったが、リアリティを感じなかった」マージン・コール Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
リーマンショック時の巨大投資銀行を描き、とても興味深い映画ではあったが、リアリティを感じなかった
J・C・チャンダー 監督による2011年製作(106分)アメリカ映画、原題:Margin Call
サブプライムローン破綻による巨大投資銀行崩壊時の経営者による顧客を裏切る行動や中間管理職の葛藤や開き直り的行動等が描かれていて、興味深くはあった。
ただ、多くの社員が解雇される中、明日にも迫ってる自社の危機的状況を、首切られた調査員意外は誰も知らないという状況はかなり信じにくかった。反面、暴落中の債券を顧客に売る抜けろとのトップの指令は分かりやすかった。また、その指令には従え無いと思う中間管理職が結局は陣頭指揮してそれを行なうことや、馘首を免れて安堵する姿は納得できる部分はある。しかし、多くの債券が売り抜けられ、大量解雇もあり、何とか企業も主人公も生き残る様な描写には、リアリティを全く感じられず不満が募った。
実際はどうであったのか?
BBC製作の「リーマン・ブラザーズ 最後の4日間」(2009年放送)では、米国政府もしくは他企業が救ってくれると楽観的に思っていたが、そうはならなかったリーマン・ブラザーズの経営トップの姿がシビアに描かれていた。他力に縋るばかりで、自力再生の試みは全くなされていない様であった。やはりそれが現実だろうと再認識させられた。
監督J・C・チャンダー、製作ジョー・ジェンクス 、ロバート・オグデン・バーナム 、コーリー・ムーサ、 マイケル・ベナローヤ 、ニール・ドッドソン 、ザッカリー・クイント、製作総指揮カシアン・エルウィズ 、ローラ・リスター 、ジョシュア・ブラム 、カーク・ダミコ 、ランディ・マニス 、アンソニー・グダス 、マイケル・コルソ 、ローズ・ガングーザ、脚本J・C・チャンダー、撮影フランク・デマルコ、美術ジョン・ペイノ、衣装キャロライン・ダンカン、編集ピート・ボドロー、音楽ネイサン・ラーソン。
出演
ケビン・スペイシー、ポール・ベタニー、ジェレミー・アイアンズ、ザッカリー・クイント、ペン・バッジリー、サイモン・ベイカー、メアリー・マクドネル、スタンリー・トゥッチ。