機動戦士ガンダムUC episode5「黒いユニコーン」のレビュー・感想・評価
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ストーリーが小さく感じられた(長文)
あらすじ: 巨大なロボット兵器が活躍するSF戦争アニメ映画。宇宙に住む普通の高校生の主人公バナージ・リンクスはある日、住む町が戦争に巻き込まれる。バナージは父の作った巨大ロボット兵器「ユニコーンガンダム」とともに住み慣れた故郷を離れ軍隊に誘拐される。軍隊はバナージだけが操作できるよう改造されたユニコーンガンダムに隠されたある重要軍事秘密を知りたがっている。バナージは秘密を知りたがっている様々な軍隊に誘拐されるうち自らも戦闘に参加するようになる。バナージはこの戦争が何のための戦争なのかだんだんとわかってくるのだった。前回の話ではジオン残党軍にいたバナージとユニコーンガンダムだがエピソード5の今回は地球連邦軍ロンドベル隊に捕まる。ロンドベル隊は悪い陰謀を企むビスト財団に掌握されておりバナージと強化人間の少女マリーダ・クルスはビスト財団の悪企みに利用されようとしている。ビスト財団の目的とは何か。ユニコーンガンダムに隠された重要軍事秘密とは何か。ストーリーの核心がわかってくるエピソード5。前回の戦闘で動けなくなったユニコーンガンダムとバナージを捕獲した黒いガンダム「バンシィガンダム」に乗っているのはビスト財団に捕らわれて洗脳されたバナージの知り合いの少女マリーダ・クルスだった。マリーダ・クルスは元ジオン軍の軍人で戦闘能力を高める為に幼い頃からあらゆる肉体改造を受けた強化人間である。強化人間は記憶や性格をつかさどる脳みそまでも軍事用にチューンナップされており簡単に記憶や性格を書き換えることができる。現在のマリーダはバナージの知っている優しいマリーダではなかった。
感想: 点数2.5。お勧めしません。マリーダ・クルスが再登場した瞬間、この「機動戦士ガンダムUC」が登場人物の少ない小さな話であることがわかってしまい少しがっかりした。新キャラクターがどんどんと登場してほしかったと思う。しかし、前回サイコガンダムマーク2を彷彿とさせるリフレクタービットなど装備した巨大モビルアーマーなど登場させるあたり、この「機動戦士ガンダムUC」は1987年のテレビアニメ「機動戦士ガンダムZZ」のオマージュがすごい。マリーダ・クルスがエルピー・プルやプルツーのような悲劇のヒロイン枠ということがわかった。マリーダ・クルスは私の気に入ったキャラクターではある。
1987年のテレビアニメ「機動戦士ガンダムZZ」は1986年のテレビアニメ「機動戦士Zガンダム」の続編のSFロボットアニメである。宇宙に住みジャンク屋でアルバイトして生計を立てる両親のいない貧しい少年の主人公ジュドー・アーシタが働き手不足に悩む宇宙巡洋艦アーガマにスカウトされ仲間の少年少女たちと共に戦争にアルバイト的に参加する話である。話がすすむとジュドー・アーシタたちはアーガマを離れ独立して行動するようになるが敵軍の強化人間の少女エルピー・プルとプルツーはこの物語の真のヒロインともいうべき存在であった。エルピー・プルはジュドーとひょんなことから知り合い、敵同士なのにエルピー・プルはジュドーのことが気に入ってしまう。エルピー・プルはジュドーに会いたいあまりに軍隊を脱走しジュドーと行動を共にするようになるのだがジュドーの仲間とは折り合いが悪くなりやがてジュドーのチーム内で孤立してしまう。エルピー・プルは軍隊に戻ることもできずジュドーのチームにいることも苦しくなり失意のままネオジオン軍との戦闘中にジュドーたちの命を助けるため戦死してしまうのである。エルピー・プルを戦死させた敵の最強のモビルアーマー、サイコガンダムマーク2に乗っているのは、エルピー・プルと瓜二つの少女プルツーであった。そのプルツーもやがてジュドーと仲良くなりジュドーを助けるようになる。妹思いでよく気が付き頼りになるやさしいお兄さんキャラであるジュドーは女性によくもてる。
マリーダ・クルスが再登場した瞬間、私の脳裏にはエルピー・プルとプルツーの悲しい最後が思い出された。間違いなくマリーダ・クルスは悲劇のヒロイン枠であると思った。強化人間は肉体と能力だけを利用され人間性を無視される悲劇の人種である。マリーダ・クルスのように人間性を無視されて成長した大人であっても物語とは違って幸せになってほしいものである。ブラック企業で働いて雑巾のように使われ何の敬意も受けない労働者は強化人間のような気持ちに近いのであろうか。勤務で部品のように扱われ機械と競争させられ人間性を無視される人々がいなくなることを願う。そのためには雇用の改善が必要である。いまは転職の企業のCMが多いが本当にいまの転職システムは労働者のためになっているだろうか。雇用の不効率が労働者にだけ負担を強いているのではないだろうか。CMを多く打てるということは儲かっているのである。しかし労働者にだけ労働の負担を強いて不当な利益を得てはいないのだろうか。強化人間はリアルと無縁ではない。人間性を無視され肉体と能力だけを不当に搾取される人々がじっさいに大勢いると思う。
視聴:液晶テレビ(無料BS放送) 初視聴日:2025年9月7日 視聴回数:1(早送りあり) 視聴人員:1(一人で見た)
追記1:
このアニメ映画「機動戦士ガンダムUC」はモビルスーツ(全高18~20m程度の大型の人型ロボット兵器)とモビルアーマー(全長30m~50m程度の超大型のロボット兵器)などが活躍するSF戦争をテーマとした映画である。モビルスーツやモビルアーマーの戦闘シーンは非常に迫力がある。主役機のモビルスーツ「ユニコーンガンダム」の特徴は「変身」である。この変身を動物に例えるなら鳥のクジャクがメスにアピールする時などに尻尾の羽を派手に広げるのに似ている。ユニコーンガンダムは戦闘能力を100パーセント以上発揮する際には全身や顔の装飾を広げて展開し別人のように変身する。私はユニコーンガンダムはあまりカッコいいとは思わなかった。なぜなら変身後でもメイン色が赤と白のみでカラフルではないからだ。私はヒーローロボットはカラフルなほうが好きだ。赤、白、青のトリコロールカラーにプラスして黄色は絶対にほしい。
追記2:
プルシリーズとは:
ネオ・ジオン軍のクローン技術により、NTパイロットとして人工的に生み出された、少女兵士たちである。第1号であるエルピー・プルら多数の個体は、いずれも『ΖΖ』の時点で最低12体の存在が確認されており、10歳程度の少女の姿をしている。外見、身体能力ともに一般的な少女と大差ないが、「刷り込み」と呼ばれる意識操作(洗脳)により、指示を下す人間を慕うように「調整」されている。(Wikipediaより)
マリーダ・クルスもこのプルシリーズのひとりであり今作では自らをプル・トゥエルブと名乗っている。つまり彼女はクローン技術で生み出された人工のニュータイプであり、強化人間である。ニュータイプとはコンピューターやAIを超える超反応・超認識能力・超予測力をもつ超能力者の人類のことである。現実の人類はAI技術などの科学技術の発達によってコンピューターに太刀打ちできなくなっている。現実の最新兵器はコンピューターなしでは成り立たない。コンピューターは超認識能力、超計算能力による予測力を備え、アニメ世界のニュータイプ能力に匹敵する日は近いと思われる。コンピューターは機動戦士ガンダムにおけるニュータイプやコーディネーターに匹敵する。まさか機動戦士ガンダムの作者もコンピューターが人類を超えるとは思っていなかったのだろう。ガンダム作品は人間の能力の可能性にしか目がいっていないように見える。サッカーボールくらいのサイズのマスコット的な会話能力をもつロボット「ハロ」がガンダム作品には登場する。現代の戦争ではハロが戦争の主役である。ドローン兵器と呼ばれる高度な自律航行のできる兵器が大活躍している。コンピューター兵器が主役の現代ではもはや強化人間などは必要ないと言えるのではないだろうか。私は時代の流れを感じた。
追記3:
コンピューターとはそもそも人類における脳にあたる。人類の脳もまた進化のたまものであろう。宗教的な議論を避けると最初の生命は脳を持っていなかったと思われる。なぜ生命は脳をもつにいたったのだろうか。それは効率よく食べ物を探したり、天敵からうまく逃れるためであろう。人類の脳はこうして進化した。コンピューターもまた人類の脳を模倣し進化しているが、しょせんは人類の脳のコピーである。今日の戦場では活躍しているがしょせんはコピーなので実はコンピューターはそれほど脅威ではないかもしれない。人類の脳が何億年もかけて最初の生命から進化したのに比べればコンピューターは赤子以下であろう。人類の脳が進化したのは効率のためであるならモビルスーツには人類は必要ないように思える。
追記4:
エピソード5の後半は1万メートル以上の上空を飛ぶガルダ級大型飛行機上でのモビルスーツ戦となる。ガルダ級大型飛行機からヒロインのオードリー(本名ミネバ・ザビ)がパラシュートなしの生身で落下するシーンなどはアニメ映画「天空の城ラピュタ」(1986年)のオマージュであろう。「天空の城ラピュタ」は古代超文明が作ったという伝説の雲の彼方の上空に浮かぶ浮遊する城「ラピュタ」を探して炭鉱の少年パズーが古代超文明人の子孫である少女シータとともに冒険する話である。炭鉱という地の底から天空の城へ進む物語を観ると地獄から天国へ旅している気分になれる名作映画である。古代超文明の残した天空要塞ラピュタには人はもう住んでいないが無数のロボット兵器がいまだ現役で城を守っておりラピュタの財宝を狙う軍隊の飛行船とロボット兵器の空中の戦いは見ごたえがあった。このエピソード5は「天空の城ラピュタ」のオマージュも入っていると思った。この「天空の城ラピュタ」(1986年)を作った宮崎駿監督はのちにアニメ映画「ハウルの動く城」(2004年)という今度は地上を這って進む城が登場する作品を作る。「ハウルの動く城」は悪い魔女に老婆の姿にされた若い女性の主人公ソフィーが地上を這って進む城に住む美形の青年魔法使いのハウルと出会い一緒に城に住む話である。天空の城を作った宮崎駿監督はこの地上を這う城の作品を何を思って作ったのだろうか。私の見解は地に足をつけてこそ生活が成り立つということであろう。「天空の城ラピュタ」では城は大空に浮かんでおりそこでシータとパズーのカップルが結ばれようとするがしょせん大空に浮かぶ城は砂上の楼閣と同じである。シータとパズーのカップルも砂上の楼閣の上では長続きしないのだ。「ハウルの動く城」は地に足をつけた城でハウルとソフィーのカップルが結ばれるが地に足をつけた生活でこそカップルは長続きすると作者は言いたかったのだろう。宮崎駿監督はふたつのラブストーリーを見たカップルのどちらが長続きするか考えた場合、「ハウルの動く城」のほうが良いと思ったのだと思う。ソフィーは老婆の姿であるがハウルは気にもせずソフィーを愛する。宮崎駿監督は若い女性もいつかは年老いるがそれでもいつまでもカップルが長続きしてほしかったのだと思う。対してこの「機動戦士ガンダムUCエピソード5」は主人公バナージとオードリー(本名ミネバ・ザビ)のラブストーリーでもありラピュタの模倣でもあるので、砂上の楼閣の上でのファンタジーなカップルということになる。ラブストーリーもいろいろパターンがあるので勉強になる。
追記5:
上空戦闘がすごい映画といえば「風の谷のナウシカ」(1984年)であろう。終末超兵器「巨神兵」による最終戦争で人類の大半が滅び地球の大部分は砂漠と酸の海と巨大昆虫の支配する森林が占めわずかに住める場所で生き残った人類は暮らしていた。風の谷に住む少女ナウシカはある日、村のはずれに巨神兵の部品を積んだ大きな飛行機が墜落するのを見る。メーベとよばれる飛行道具を使い空を自在に飛べるナウシカは空を飛び、風の谷の村や世界を救い地球環境が荒廃した原因が過去の人類のしわざだったことを知る。ミネバはナウシカほどの魅力はないと思った。
バナージの出自が明らかに。バンシィにはマリーダが
カイ・シデンまで出てきた!!
プルトゥエルブに再調整されたマリーダ
男達の論理が支配する世界への女の復讐
宇宙に上がるよ!
そら
かつてガンダムに乗ったものと同じく君もガンダムに選ばれたものだと思いたい。いつもそれは結果的に必然だった、良くも悪くもだがな。
絶望を退ける勇気を持て。君がガンダムのパイロット、ニュータイプであるならば。
サイアム・ビストの名前が遂に。
サイコフィールド、アクシズショックとは?
「受け止めなさい、バナージ」5話は女の回だな
リディ少尉かたなし
ジンネマンがぁぁ
「俺を独りにするなぁぁ」
なんだこの光は
ゼネラル・レビルなる巨大戦艦
最後のおいしいとろをネオジオンが!
まとめて評価したので1作目と同じ
富野節とは違う聞きやすい、それでいて深い語りが各インテリキャラから出てきて、ガンダムらしい濃厚なストーリーです。
全体を通じて人の死や恋愛で心情が揺れ動く様子が、けれん見なく表現されてるので、一気見してもしんどさが無いです。
見やすさという点ではアニメーションも優秀です。
1話目の主人公たちをマリーダが追いかけるシーンだけで、この作品は観るに値すると感じました。
あれだけでマリーダの能力、立場、キャラが伝わるんですよね。
特に宇宙移民を「参政権の剥奪」と捉えるのは面白いです。
小説を読んだ人からすると詰め込みすぎだそうですが、ダラダラせずしっかりした話になってるように見えました。
強化人間の性
今回はマリーダが主役だった様に思います。
再調整されたマリーダ。
強化人間はいつの時代も可哀想だなと思います。
揺れ動く心、マリーダが片目で泣いている姿が印象的で心の葛藤を上手く描写してるなと思いました。
その他にも見所たくさんでした。
懐かしいゲストキャラの登場。
UCは、こういう楽しみが多いですね。
沈黙するバナージと話すブライト。
ニュータイプの扱いは流石です。
バナージに、どこかアムロの姿を重ねてるのかもしれません。
ミネバがバナージを信じて身を投げ出すシーンも、ぐっと来るものがありましたね。
リディが黒ユニコーンを恨むような目で見上げたシーンは、声が浪川さんなのでアナキンがベーダー卿へ堕ちていく姿とかぶりました。
フルフロンタルが再び登場で、どうなっていくのか楽しみです。
ブライトさんの家庭は今…
メカニックにそれほど興味のない私にもバンシィは美しく感じられました。前作がいいところで終わっていたのを思い出しつつ観入りました。マリーザの奪還にほっとし、ミネバの抑制の効いた性格に惚れ込んでいたら、ブライトさんの語りが。部屋にアムロのピンナップを飾っていた前作にも驚いたけど、今回は語りまで…そんな彼の前に、カイやベルトーチカの登場もかすみました。来春が待ち遠しいです。
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