「人は愚かだけど愛おしい。」ノア 約束の舟 mg599さんの映画レビュー(感想・評価)
人は愚かだけど愛おしい。
よもや、ダーレン・アロノフスキーがこのような映画を撮るとは夢にも思わなかった。聞けば、「π」を撮った頃には構想があったらしい。
神の使徒として使命を全うしようとするノア(ラッセル・クロウ)。そのためには産まれるべくして産まれた我が孫まで手にかけようとする。
カイン(レイ・ウィンストン)の、自分が生きるかどうかは自分で決める、という論にもうなづけるところがある。だからといって、人の物を盗むなどは言語道断ではあるが。
文明と切り離されたというか、まだ文明未発達の時代の話。それがそもそも話に入り込みにくくさせている。
なぜ彼らは英語をしゃべっているのか。ほんとのところ言語はどこまでできあがっていたのか。
そこのところがやはり少しひっかかる。
が、アロノフスキーは力技でノアの箱舟を映像化したわけで、その意気やよしである。
ラッセル・クロウの仏頂面で物事をおし進めていく姿勢もすごいものがあって、近年では最高の部類の演技であった。
願わくば、まったく知らない役者で描いてもよかったのかな、と思う。
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