劇場公開日 2014年6月13日

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「人間の原罪」ノア 約束の舟 xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5人間の原罪

2014年6月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

幸せ

「ノアの箱船」はそんなに遠くない、僕にとっては。
もちろん、旧約聖書の一節には違いないのだが、それよりも数年前、アルゼンチン辺りで「これはノアの箱船のがれきでは?」という記事を見たとき、何千年も前の幻のストーリーから、いまの人間に届いたもののように感じたのだ。あらゆる動物を乗せて洪水が止むまで漂った箱船。
そんな物語にダーレン・アレフノフスキー監督は陰影をつけたドラマをつけた。「堕落した人間は生きてはならない」という神からの使命を受けたノア。そうではなく、汚れなき子たちを殺さないでと叫ぶ養女。
ここに人間の原罪をみる。
愛するということと、神の意思に従うことのどっちを選ぶのか?
そして、前者を選んでしまったノアに人間の原罪は宿ってしまった。
もちろん、僕たちは普通ノアと同じ選択をするだろう。
でも、そこに甘さもあり、罪もあったのではないか。
ひとを愛することは素晴らしい。でも、そこにはねたみも一緒に内包しているのではないか。別のひとを愛してしまうこともあるのではないか。いまの世界はその原罪に翻弄されているような気がする。
はじめのうちは、アレノフスキー監督にしてはつまらない映画と思っていたのだが、養女があの子守唄をうたったときには、おもわず涙が出てしまった。

xtc4241