「3D映像が進化。究極のアトラクションムービー。人間ドラマを期待しちゃダメよ」センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
3D映像が進化。究極のアトラクションムービー。人間ドラマを期待しちゃダメよ
17歳になったショーン・アンダーソン(ジョシュ・ハッチャ―ソン)は、危険な海域にある謎の島から遭難信号をキャッチする。その発信源を追跡するため旅に出ようとする彼に、新しい義父・ハンク(ドウェイン・ジョンソン)は、やむなく付き添うことになる。ふたりは唯一ガイドを引き受けてくれたヘリコプター操縦士・ガバチョ(ルイス・ガスマン)と、強い意志を持った彼の娘・カイラニ(ヴァネッサ・ハジェンズ)と共にその島を探し出そうと繰り出す。“嵐の目”を通って彼らは、遂に島を見つけるが、そこに待っていたのはショーンのおじいちゃんで冒険家のアレキサンダー(マイケル・ケイン)だった。そしてこの島こそ、かつてジュール・ヴェルヌが書いた“神秘の島”であった。そこには巨大トカゲや巨大蜂、小さな象などの大小サイズ逆転の奇天烈な生物が生息し、さらに驚くべき秘密が隠されていた。だがその島は衝撃波によって、島とそこに潜む数々の宝が永遠に海底に沈もうとしていた……。
本作は、3Dのショールーム的な作品。前作は3Dの草分けとして、一番早く公開されました。当時まだ日本語テロップも付いていない段階の試写をギャガの試写室で見たとき、飛び出す映像に驚いたものです。
けれども3Dが当たり前になってきた昨今。本作の続編は、より3Dを体感させる冒険シーンを描くことに特化したようです。だから前作よりも冒険のバリエーションは豊富なっています。
神秘の島では、定番の恐竜や巨大なトカゲに追いかけられるところに加えて、巨大なみつばちに乗ってみつばちの天敵であるジャイアントバードとの空中戦。さらに、海中では巨大なデンキウナギに追いかけられて、なぜか100年前に作られた潜水航空艇逃げ込むという陸、空中、海底を股にかけた主人公たちの活躍を体験することができます。それはまるで遊園地のアトラクションそのもののです。本作は、そんなアトラクションムービーをつないだ作品といえるでしょう。だから最初に3Dありきの映像になっています。ストーリーは二の次にして、どのような映像だったら、よりハラハラドキドキ3D映像が楽しめるかという発想で企画されているので、2Dで見た試写会はイマイチでした。
但し2D映像から予想される3D映像は、アクションシーンがよりワイドになっているため、アトラクションムービーとしてかなり楽しめる映像に仕上がっていると思います。 たぶんディズニーランドのアトラクション並みに主人公の冒険物語が楽しめることでしょう。映画目的よりも、遊園地感覚で3D映像を見にいくというのが本作の見方でしょう。
ストーリーは付けたしなので前作よりも荒いです。前作ではかろうじて父親が行方不明で心を閉ざしていた少年が冒険を通じて、たくましく成長する様が描かれました。今回は再婚した母親の夫を父親として受け入れていく過程が盛り込まれています。でも冒険を続けるなかで、反発していたのがあっさり和解してしまうのです。このシリーズで今後とも人間ドラマを期待するのは無理があるというものでしょうか。
それにしても、冒険に入るきっかけ作りは強引でしたね。ショーンの祖父なら、わざわざ謎の島から遭難信号を暗号で送らなくても、出かけるときにこの島へ出かけてくるよと伝えておけばいいのに。おかげでかわいい孫は、暗号を解くために軍の施設に侵入して逮捕されてしまうのです。
そしてラストには、またまた偶然冒険を暗示させる本が見つかり、さらなる冒険へショーンが出向くことになることが暗示されます。本作の主人公は前作の子供の頃から、普通の人では知り得ない地底空間の入り口や神秘の島などへの辿りつく手がかりを容易に手に入れてしまう特殊な才能の持ち主なんでしょう。まぁ予定調和の見本のような設定ですけれど。
小地蔵は、プロレスラーのロックの俺様キャラが好きなんです。本作の義父役に登場するドウェイン・ジョンソンは、そんな俺様キャラを封印。柄にもなくショーンにいかに父親として認められるかと奮闘するハンクをそれっぽく好演していたと思います。
でもリングにも戻ってきて欲しいです。