「「時間=通貨。静かなるアンチが資本主義を揺るがす」」TIME タイム 平野翠@事業家集団さんの映画レビュー(感想・評価)
「時間=通貨。静かなるアンチが資本主義を揺るがす」
21世紀型の格差社会を極限までデフォルメした世界観が痛烈だ。
本作では「通貨=時間」という設定が斬新でありながら、現代の労働市場や格差、資本主義の在り方を痛烈に批判している。
“時間持ち”は不老不死に近づき、貧困層は今日を生きることに追われる。その残酷さを、美しいスタイリングの中に冷ややかに描いている点に本作の怖さがある。
主人公は、このシステムのアンチテーゼとなる存在。時間を盗み、奪い、システムそのものへの破壊を企てる。まさに“アンチ”として社会構造への挑戦を掲げる姿は、現代のSNS時代に生きる我々に重なる部分もある。
アクションやロマンスの要素もありながら、見終えた後に「時間とは何か」「資本とは何か」を深く考えさせられる作品。近未来SFの皮をかぶった、静かな怒りに満ちた社会派映画だ。
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