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リーマンショック・コロナ禍・ネット通販以前のアメリカ小売業

2024年12月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

フレデリック・ワイズマン特集 - その14 (1983)

 僕はデパートとは全く縁のない人生を送って来ました。デパートでの買い物と言えば、大阪の実家に居た頃、自転車で梅田に映画を観に行った時に阪神デパートの地下で買ったイカ焼き以外にはありません。デパートと言えば「僕などが及びもつかない高級品を扱う所」というイメージでした。

 しかし、本作の舞台となるテキサスのニーマス=マーカス百貨店は、阪神などを遥かに凌駕する高級店でした。コート売り場では、3万7千ドルの黒貂の毛皮を売ろうとする現場が紹介されていました。現在ならば1千万円に相当するお買い物でしょうか。お客さんはこれにするか、4万5千ドルのにするか迷っています。また、宝石売り場では4万5千ドルのネックレスが持ち出されるのです。

 ピアノ演奏を聴きながら食事の出来る高級レストランもあり、店員が売り物の高級服を着てテーブルの間を歩いて商品紹介しています。

 幹部会議では「店の目的はただ一つ。物を売る事」と直截に語り、「売れ、売れ」の掛け声が響きます。現在の眼から見れば欲望と拝金の世界にも映るのでした。この映画から40年近く、リーマンショックを経て、コロナ禍を乗り越え、ネット販売が広がりアメリカの小売業も大きく変化した筈です。調べてみると、この百貨店はまだ存在する様ですが、今もあんな金ぴか贅沢品を売ろうとしているのでしょうか。

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