「見事な演じ分け。」デビルズ・ダブル ある影武者の物語 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
見事な演じ分け。
普通、有名人に似てるね♪なんて言われたら嬉しいものだが、
今作の主人公、ラティフには地獄の面持ち(汗)となってしまった。
学生時代からソックリだと言われていた二人ということは、
まさか…^^;いや、想像するのも怖いのでそこは避けておこう…。
しかし驚いた。ナニ!このウダイって。最悪の男じゃないの。
父親(ソックリさん大勢出ます)の方がイイ人に見えてしまうほど、
さすがに実の父親に「生まれたときに殺しておくべきだった」は
頷きながらも参った。なんでこんな奴が後継者へと育ったのか。
いま世の中を不安に轟かせる某独裁国の後継者(太りすぎの)が
一体どんな性格なのか計り知れないけれど、いや怖い。怖すぎ。
温厚な独裁者。なんて聞いたことがないので(汗)
どこの独裁者も悪党だろうと思っているが、ここまでやりたい放題
(女学生を車に連れ込んでクスリ漬けにし暴行、犯罪じゃないか!)
というのが考えられない。しかも一般国民は一切逆らえないのだ。
ナンなんだ、と腹が立ってくるがこれこそ真実だったのだろう。
出てくる奇行はおかしなものばかり、どう語ればいいのか(残酷で)
及ばない程だが、いやしかし、この男を演じきったD・クーパーの
凄演技。すばらしい!!狂った男と影武者の男。まったく対極の
精神性を持った二人を(顔はソックリなのに)並んで別人と思わせる
演技力&映像に恐れ入った。それを見るだけでも価値ある作品。
チラシの金ピカ性が何を物語っているのか分からないけど^^;
狂気とはここまで人を追い込み、破滅させ、心まで蝕むと思うと
狂気の芸術!狂気の才能!には、怖くて近づけないなぁと思う。
自国がこんなじゃなくて良かった、と無神経にも安心感さえ持ち、
自分の顔が誰にも似ていないことに感謝します!と神に祈った。
決して笑える映画ではないのだが、
ここまでやられるとまるで漫画のように感じてしまう、それほど腐敗
した独裁国家の真髄に触れた気がした。バカは結局治まらない。
事実を淡々と追った作品なので、ラストも唐突に終わる。
ウダイの愛人を演じたL・サニエの妖艶な身体演技も心に残る。
(ラティフはよく生き延びたものと…だからこの話が世に出たわけで)