「「ご都合主義」は目立つが、ワーシントンの魅力で持っている惜しい作品」崖っぷちの男 梅薫庵さんの映画レビュー(感想・評価)
「ご都合主義」は目立つが、ワーシントンの魅力で持っている惜しい作品
なんでこうなるの?
といったご都合主義が目立つものの
映画のテンポがいいため
観客の気持ちを物語のなかに引きこむことに
成功している
おそらくこれは尺が短すぎるためで(102分)
あと10分長くして、登場人物の性格を
きっちりと描けば、もっと観客の気持ちが
ストーリーのなかに入って行くことが出来ただろう
そのあたりはドキュメンタリー出身の監督(アスガー・レス)で
フィクションでは初作品という気負いが出てしまったか
それぞれのキャラは魅力的である
主人公ニックを演じるサム・ワーシントン
はじめてじっくり観たけれど
タフな面と優しい面、両方を持ち合わせたナイスガイ
ちょっとまえなら、こういう役はニコラス・ケイジとか
演じたかもしれないが、ワーシントンの場合は
そこまで三枚目ではない、だからいいのだな
もうちょっとまえにブレイクしていたら
クリストファー・ノーランの「ダークナイト・サーガ」に
ブルース・ウェイン/バットマンとして
出ていても不思議はなかったかもしれない
もっとも、これは贔屓目すぎるかもしれないが
またニックの弟ジョーイ(ジェイミー・ベル)と
恋人のアンジー(ジェネシス・ロドリゲス)のコンビもいい
ふたりの会話はコメディー・リリーフとしての面白さがある
そしてエド・ハリス
この人がいるから、この作品を観に行ったようなもの
だが最初登場した時「老けたなぁ」というのが第一印象
出番はそれほど多くないが
おそらくユダヤ系宝石商としての老獪さ満点の
まるで一時期の西村晃のような悪役を怪演している
最後まで一気に見せる勢いはあるものの
ちょっとした映画的気配りが足りないために
面白さの点で減点せざるを得ない惜しい作品である
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