「窮地は、知力よりも度胸で乗り切れ!」崖っぷちの男 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
窮地は、知力よりも度胸で乗り切れ!
少し前に観た『裏切りのサーカス』は事前に予習をした方が楽しめる映画だったと思うが、
この『崖っぷちの男』は逆になるべく情報を入れない方が楽しめる映画かも。
それでも構わないなら、続きを読んでくださいな。
開巻早々に高層ビルから飛び降り自殺を図る主人公。
だがその行動の裏には驚きの犯罪計画が……
とまあ、ネタバレなしで言えるのはこの程度かしら。
主演サム・ワーシントンは地味ながらも説得力のある配役。
体力は申し分無さそうだし、表情も自制心の強さを感じさせる。
なにより彼はいつも、作品の雰囲気や他のキャストの邪魔をしない。
本作には、エリザベス・バンクス、エド・ハリス、ジェイミー・ベル、エドワード・バーンズなど
知名度A級とは言い難いが、実は腕の立つキャストが揃っている。
出演者を調べてなかったので、ちょっと得した気分(笑)。
なかでも登場が嬉しかったのは、ホテルの従業員を演じたウィリアム・サドラー!
なんか昔から好きなんですよ、あのオジサン。
ほら、『ダイハード2』で全裸でテレビのリモコン握ってたあの人ですよ!(←最悪の紹介)
今回は何気にオイシイ役どころだったしね。
さて物語の内容についても少し言及。
本作の主人公らは犯罪のプロでは無いので、
ここでの犯罪計画も緻密に練り上げられた計画とは言い難い。
その点は素人強盗団が活躍する『ペントハウス』に内容が似てる気がするが、
ちょっぴりスマートな雰囲気を匂わせていた『ペントハウス』に対し、
本作の犯罪計画はもっとストレートというか、地味で泥臭い印象。
警察の仕事の手順やそのスピードまで読んだ計画は見事だが、
綿密な計画以上に必要だったのは、ハッタリ、体力、運の良さ、そしてここ一番の度胸!だった。
予想外の事態が生じても、出たとこ勝負で窮地を乗り切る姿はある意味リアル。
だって、きっちりマニュアル通りにしか仕事をこなせない人よりも、
フレキシブルに動ける人の方がいざと言うとき強いですもん。
(まあ相当危なっかしかったけど)
あのラストも『お〜、そこでそれ使うのか!』という感じで気分スッキリ!
脚本として綺麗な着地を決めたとは言わないが、
なかなか“大胆なオチ”を見せてくれるじゃあないですか!
以上!
しっかり楽しませてくれる佳作サスペンスですよ。
あ、余談だが、作家スティーブン・キングの短編『超高層ビルの恐怖』は無関係なのです。
<2012/7/8鑑賞>