「暴挙の裏で弾かす計算と偶然」崖っぷちの男 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
暴挙の裏で弾かす計算と偶然
たった1人の男の行動が街中で大観衆の注目を集め騒動となる展開はコリン・ファレル主演の『フォーン・ブース』を思い出す。
しかし、今作の方が断然面白い。
ケイタイ全盛期に、どうやってターゲットを電話ボックスに誘き出すかというシチュエーションの成立に心血を注ぐがあまり、物語がないがしろになってしまったのに対し、今作は、主人公自体が仕掛け人で、引っ掻き回しているのが相違点と云える。
が、そもそも根本的に違うのは、仕掛け人がもう別に居り、秘密裏に並行して進んでいる事だ。
しかも、現場はホテルのお隣のビルという大胆さで、プロジェクトを成功するために、交渉人や野次馬に挑発しては上手く誤魔化す。
命懸けのフェイントが緻密な計算なのか行き当たりばったりなのか実にうやむや。
そんなアンバランスな駆け引きが特徴であり、作戦がクライマックスに進むに連れて、成り行きというより強引ってぇニュアンスが拍車をかける。
故に、
「おいおい…」
って苦笑してしまうのも御愛嬌。
呆れ返るのではなく、トリックのハチャメチャぶりを楽しませる構造は、『オーシャンズ』3部作よりもウワテなのかもしれない。
そもそも映画にムキになってツッコむなぞ、野暮の極みなのだ。
帰宅後、レビューを描こうと寝っ転がってニュースを観ると、相変わらず小沢一郎と野田総理とのいざこざ茶番をやっていた。
なんでぇい、わざわざ劇場行かなくても、テレビをつけりゃあ、崖っぷちの男なんざぁウジャウジャいやがる。
まあ、崖っぷちどころか、とっくに奈落の底落っこちてるけどね(ハトヤマ星人とかヤワラちゃんetc.etc.)
では、最後に短歌を一首
『宿の窓 眺めは善いが 足は浮く タマ(宝・命)が飛び交う 綱渡りの空』
by全竜