「爽快な種明かしでまとめた脚本がいい」崖っぷちの男 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
爽快な種明かしでまとめた脚本がいい
高級ホテルの高層階、窓から外に出た男が、やっと立っていられるほどしか幅がない張り出しの上に立つ。
男は30億円のダイヤを横領した罪で投獄されたが、脱獄して、今ここに立っている。観念しての自殺か、それとも裏に何かあるのか?
どちらにしても、高所シーンはお尻のあたりがゾワゾワする。
男は元NY市警察官という設定で、「アバター」のサム・ワーシントンが演じる。やはり、何かありそうだ。
さらに、飛び降りを静止しようとする市警に対し、男はある女性交渉人を相指名する。謎が謎を呼ぶ。
この二人がずっとホテルの窓枠を挟んで対峙するという、異色な設定だ。
もちろん、出演者はこの二人だけではない。
では、ほかの出演者はなにをするのか? ここがキーポイントだ。
誰一人、無駄な登場人物はいない。全員が密接に絡み合っていく、その面白さはなかなかのもの。
崖っぷちの男と女性交渉人、そしてもう一組、陰の主役がいるのだ。二組によって同時進行する静と動のバランスがいい。
拾い物の1本だ。
クルマは飛ばさないが「ワイルド・スピード」的なノリを渋くまとめた脚本が上手い。ラストは少し超人的だが、まさかの種明かし共々、爽快にまとめられている。
そして、ネタの持ち味を上手く打ち出した一番の功績者は、警察機構という男社会のなかで、自分のポジションを犯す者にははっきり「ノー」と言い、信念を持って職務と職責を果たそうとする女性交渉人、リディア・マーサーだ。演じるエリザベス・バンクスは知的だが秀才っぽさがなく気さくな魅力がある。
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