「中途半端なバランスの悪さ」劇場版BLOOD-C The Last Dark tochiroさんの映画レビュー(感想・評価)
中途半端なバランスの悪さ
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私は「BLOOD-+」は観ていたが、このTV版は観ていない。そのためこの劇場版に至るストーリーの流れや作品世界の設定は、あまり理解できていないが、それを差し引いてもこの作品は面白くないと思う。
東京都に青少年保護条例が施行され、18歳以下の青少年は22時以降の単独外出が禁止されている設定だが、もっと青少年の反抗の描写(もし施行が東京都だけなら、22時直前に他県との境界線を越えてしまえば済むし、もっとネットでもできることがある筈)があってもいいのに、結局文人の影響力の大きさを描くダシにしかなっていない。
当初は「赤い盾」のような組織(サーラット)が出てきたので、てっきり小夜をサポートして組織戦を展開し、最後は大決戦になるのかと思ったが、大して盛り上がりのないままダラダラと流れ、ラスト近くのどんでん返し(蔵人の裏切り)も「あっ、そうだったんですか」という感じでしかない。
作画については車のCGが異様なほど出来がよく、またスクランブル交差点や教室内の群衆シーンでは一人一人がきっちり動いており感心した反面、その他のシーンは特に目を引くものはない。特に「古き者」のクリーチャーとしてのデザインやその動きはおざなりで、全く驚きも感動もなく、おまけにあまりに弱すぎる。そのため小夜の殺陣も全然見所となっておらず、カタルシスもない。
登場キャラも総じて類型的で、特に松尾や藤村は存在感も深みもない。蔵人も正体を現してからは文人に対する嫉妬心丸出しの薄っぺらさだけが鼻につく。
作画、ストーリー、キャラ描写のいずれも、何か中途半端にバランスがとれていない作品だ。
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