「攘夷運動♥? クールなサムライ・ニッポン!」幕末太陽傳 マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
攘夷運動♥? クールなサムライ・ニッポン!
『何々してくんろ』って北関東の方言。北関東の町人若しくは農民が、品川の遊郭に来た理由が分からない。と言うよりも、北関東の方言をパカにしている。脚本家の差別的偏見と見るべきだ。
『単に人家を焼くと言うのではない。安政の屈辱的な条約に火を付けるのだ』
そして高杉晋作は続ける。
『外国の領土(植民地)と化した上海を見てきた。だから、今、幕府のメイモン(?)を打破しなけりゃ、日本は第二の上海になる』すると久坂玄瑞は『そんな理由で、領事館を焼き討ちと言うのは愚挙だ!』と言って仲間割れする。
さて、高杉晋作と久坂玄瑞の架空の会話を取り上げ『挙げ句』いとも簡単に二人は同意して『英国領事館焼き討ち』と言う『亡国的テロ』を成功させる。
そして、問題なのは、
戦後、12年経過して、アメリカの植民地の様に成り下がった国の文化が、堂々とそんな台詞を吐いている事である。
『溝口健二監督』の『赤線地帯』を見て、落語のファンだったので、この映画を見た。
『居残り佐平次』
『付き馬』
『品川心中』
『三枚起請』
等など『日本の醜い文化を笑い飛ばす』そう言った内容だと期待していた。しかし、全く違うどころか、明治維新後の間違った事件まで美化しているのには、実に驚愕の思いである。この演出家は兎も角、助監督、脚本家に『楢山節考』の演出家の名前があった。彼を左翼的リベラリストと称賛する人もいるが。
どうやら、私の見立ては間違っていなかった様だ。しかも、
落語を元にしているのに、笑うところは一つもない。
追記
『英国公使館焼き討ち事件』は1863年で、火付け役には、後の第一代内閣総理大臣の伊藤博文もいる。
それはさておき、前年の1862年には『生麦事件』と言う事件で薩摩藩の『お侍さん』が英国人を斬り殺している。私は日本史には疎い方だが『屈辱的条約』よりも『亡国的テロ』の方が問題なのは『生麦事件』の結果を知れば、誰でも理解できる。そして、ずっと後の挙げ句の果てに、その英国やオランダ相手に、戦争まで引き起こし、最後は孤立して、ズタボロに負ける。国際的に『日本って空気が読めていない』と感じてしまう。残念な事だが。